登録者数35万人! 人気のYouTubeチャンネルを主宰するパリ在住エッセイスト・井筒麻三子さんが、待望の初書籍『GORO GORO KITCHEN 心満たされるパリの暮らし』を4月14日に刊行。今回は新刊にも掲載した、フランス人と日本人の関係についてのお話をご紹介します。

 
『GOROGORO KITCHEN 心満たされるパリの暮らし』(講談社) 著/井筒麻三子  写真/Yas
4月14日発売


日本にいた頃はフリーランスに転身後、旅雑誌の編集部で働いていたこともあり、仕事で世界のあちこちに行く機会がありました。どこに行っても概ね“日本はいい国”、“日本人はいい人たちだね”と言われることが多く、よき印象を積み重ねてきてくれた先人には感謝だなあと思っていました。

一度も会ったことがないのに、YouTube動画を撮影するために家にお邪魔させてもらっただけでなく2泊も(!)させてくれたナタリー。その理由もやっぱり「日本人の友人にはいつもよくしてもらってたから」でした。

ところがイギリスに住んでみて感じたのは、イギリス人ってあまり日本に興味がないんだな、ということ。別に嫌いと思っているふうでもないけれど、手放しで褒めるわけでもない。そもそも日本に興味がないからニュートラルなのね、という印象。そしてその様子を見て、そういえばアメリカも同じ感じだったな……ということを思い出しました。

 

そんな経験を経てからフランスに来たため、いかにフランス人が日本贔屓であるかを感じて驚きました。移民国家なので、初めて会う人からは大抵すぐ「どこから来たの?」という質問が飛んできますが、「日本」と言うと「おおお〜! 日本! 大好きなんだよ!」というような返事ばかり。熱烈な反応をされることが多くて、最初は面食らったほどです。

フランス人と言っても、ヨーロッパ系からアフリカ系、アジア系……と、外見だけでは判断できません。

お世辞で言ってくれているのかな? と勘ぐったこともありましたが、どうもそうではない様子。それを証明するように、ジャパンエキスポなる日本の総合博覧会をはじめ、さまざまな日本文化を紹介するイベントが毎年あちこちで行われていますが、どこもかしこも常に大賑わいです。

アメリカやイギリスで、日本語を習っているという人には巡り合いませんでしたが、フランスではわりと頻繁に出会います。言語まで勉強していなくても、日本と聞くと「日本の○○が好きなんだ」と、自分の持ちうる知識をすべて披露してくれる人もたくさんいます。

この日本傾倒っぷりは昔からなのかと思っていましたが、実は最近のブームらしく、20年以上フランスに住むカメラマンさんに聞いた話では、ここ10年くらいで、一気に状況が変わったのだそう。原因はいろいろあるでしょうが、あちこちで話を聞くにつけ、漫画による影響は特に大きかったのだろうなと感じます。