私は自他共に認める漫画好きなのですが、イギリスからフランスに来て最初に感激したのは、「本屋さんに漫画のコーナーがある!」ということでした。今やフランスでは、どこの書店でもMANGAコーナーがあるほど漫画が定着しており、市場的にも日本に続き世界2位の売れ行きを誇るのだそう。地下鉄の中でも、セリフがフランス語の漫画を読んでいる人をたまに見かけますし、図書館に行っても漫画がたくさん揃っていて、「フランス語は漫画を教材に勉強したほうが上達するかも?」と思ったくらいです。

本屋さんでは、“MANGA”の文字が書かれている通り、日本の漫画がずらりと揃ったコーナーが。

今パリは日本食レストランもどんどん細分化が進んでおり、お寿司、お好み焼き、天ぷら、といった定番和食から、お弁当、唐揚げ、お餅専門ショップなどもあり、特にラーメン屋さんはものすごい勢いで増えています。これもやはり漫画やアニメを観た若いフランス人たちが影響を受けて「食べてみたい」となっているからだとか。そういえばアジア食材屋さんに行ったときも、マダムに「あなた日本人よね?マキ(巻き寿司のことをフランス人はこう呼びます)を作ってと子供に言われて来たんだけど、何を買えばいいか教えてもらえる?」と尋ねられたこともありました。

 

さらに最近では邦画の上映も頻繁に行われており、「この映画、もうフランスで観られるんだ!」と目を見張ることも。いろいろな角度から日本の文化が受け入れられていることをひしひしと感じられて、日本人であることを誇りに思える機会が多いのです。

ちなみに男性目線だと何か違った印象があったりするかな? と思い、夫に「フランス人って親日家だと思う?」と聞いてみましたが、「絶対そう!」と即答でした。曰く「もちろん漫画とかの影響もあると思うけれど、日本人とフランス人は正反対だからお互いに惹かれ合うところもある気がする」。

蚤の市で見つけた、Japonの本。こんなところにも日本が!とちょっと嬉しくなりました。

確かに、私はフランス人の自由で主張するところが好きだけれど、フランス人は「日本人は礼儀正しくて協調性があって、穏やかで素晴らしい」と口を揃えて言ってきます。それを考えると、特に憧れてやってきたわけでもないのに、気がついたら私がフランスにこんなに長く住んでいるのも、フランス人と日本人は相思相愛だから……なのかもしれません。
 

撮影/Yas