季節の節目となる「節句」は、旬の植物を味わう

写真:Shutterstock

旧暦では、移りゆく季節を知る目安に「五節句」がありました。節とは季節の変わり目をいう語で、その節目となる日を「節日(せちにち)」といいます。中国の暦上の風習である節日は、日本において、正月行事や氏神様の祭礼、農耕儀礼といった年中行事と結びつき、今でも特別な日となっています。

 

とりわけ重要な節日が「五節句」です。五節句とは一月七日の「人日(じんじつ)」、三月三日の「上巳(じょうし)」、五月五日の「端午(たんご)」、七月七日の「七夕(しちせき)」、九月九日の「重陽(ちょうよう)」をいいます。

日本の習わしに根づいた五節句は、江戸時代には公式な行事として制定されています。

古代中国には、節日には旬の植物から生命力をもらって邪気を祓う習わしがありました。そのため日本にも、五節句には特別なごちそうを食べる風習があります。「人日」には七草粥、「上巳」には桃花酒や白酒、「端午」にはちまきや柏餅、「七夕」には素麺、「重陽」には菊酒をいただき、それぞれの節句を祝います。

ただし、季節を知る目安となる五節句も、旧暦から新暦へ移行する際、日付をそのまま移動したために実際の季節とは合致しなくなってしまいました。旧暦の三月は新暦の四月にあたるため、新暦で桃の節句を祝うと、桃の季節にはまだ早いという現象が起きるのです。そのため、節句にまつわる祭りは一か月遅れで行う地域もあります。
 

 

次ページ▶︎ 「端午の節句」で男の子の成長を祝う理由は?

五節句の一つ「端午の節句」に行うこと
▼右にスワイプしてください▼

イラスト/猪原美佳