希少な天然のジェットの原石を用いて製作される「ヴィクトリアンジェット」のジュエリー。右から、丸玉グラデーションネックレス、カボッションピアス(イヤリング)、実りの葉ブローチ。ネックレスとピアスorイヤリングの2点セット(¥209000)、ネックレスとピアスorイヤリングとブローチの3点セット(¥352000)でmi-mollet STOREで販売中。

こんにちは。先日ミモレストアで販売いたしましたブラックフォーマルウエアには、たくさんの方から「こんな喪服を待ってました!」というお声をお寄せいただきました。今回は販売できる数量の関係で完売となってしまいましたが、今冬〜来春にかけて再販を予定しています。今回お買い求め頂けなかった方は、ぜひ再販をご利用いただけますと幸いです。

また「喪のジュエリー」と呼ばれる天然のジェットのジュエリーについても、たくさんの反響をいただきありがとうございました。こちらはミモレストアの常設販売アイテムとして、6月16日より販売を再開いたしました。

ジェットといえば、エリザベス女王国葬の際に雅子さまがご着用されていた「喪の宝石」として記憶に残っていらっしゃる方も多いかと思います。

遡ること約150年前。19世紀のイギリス、ヴィクトリア王朝で一大ブームとなったジェット。しかしその後は"幻の宝石"として、長きに渡り新たな採掘ができない時代が続きました。実は天然のジェットが再び歴史の表舞台に現れるようになったのはここ30年程のこと。

本日はミモレストアで販売中の貴重な天然のジェットを用いた「ヴィクトリアンジェット」のジュエリーについて、そしてジェットが「喪の宝石」と呼ばれるようになった歴史についてご紹介させていただきます。

漆黒の宝石「ジェット」とは?

ジェットは樹木が長い年月をかけて化石化して生まれたもので、紀元前の遺跡からも装飾品として発掘されるなど、古来より人々が身につけてきた人類最古の宝石のひとつです。
落ち着いた漆黒の輝きが故人を哀悼するときに身につける装身具に相応しいと「モーニング・ジュエリー(喪のジュエリー)」として用いられてきました。

そんなジェットが一大ブームとなったのは、19世紀後半のイギリス。最愛の夫、アルバート公を亡くしたヴィクトリア女王が、喪に服す際にジェットをモーニング・ジュエリーとして定め、欠かさず身につけたことがきっかけで、イギリスを中心にヨーロッパの人々がこぞって身につけるようになりました。

「太陽の沈まぬ国」と讃えられた大英帝国の黄金期を築いたヴィクトリア女王。在位は1837年から1901年まで約63年間の長きに渡る。写真:アフロ

その後ヴィクトリア女王が「喪服の緩和令」を発令するまでの約25年間にわたり、人々は美しい細工を施したジェットのネックレスや耳飾り、ブローチなどを愛用していました。

日本の皇室では、明治以降に洋装による礼服の規定を定めた際、英国王室をはじめとした欧米諸国を参考に、黒の礼装のときは「黒玉(ジェットの和名)」を身につけられるようになり、それが現在へと引き継がれています。

【ミモレストアでご紹介するのはこちらの3点】

グラデーションの丸玉が美しく寄り添うネックレス

「ヴィクトリアンジェット」丸玉グラデーションネックレス。素材:ジェット、水牛の角(留め具部分) サイズ:約42cm
6〜12cmまでの1ミリ単位の丸玉が緩やかなグラデーションになっており、首元に添うことですっきりと見えます。
留め具部分は上質で強度のある水牛の角先端の芯部分を使って作られています。肌あたりがよく、またネジ式になっているため、ひとりでも簡単に取り外しができます。

美しいグラデーションを描く丸玉のネックレス。首元に自然に添い、正面の姿も、横顔もすっきりと見せてくれます。 ジェットは原石の状態ではマットですが、磨くことでその部分が艶を帯びてきます。それはまさに、故人を哀悼する気持ちに寄り添うような、気品溢れる落ち着いた漆黒の輝きです。
ジェットは100年以上その品質が変わることなく次世代に引き継げる宝石。世代を超えた普遍的なデザインは、まさに定番と呼ぶにふさわしい一本です。

漆黒の輝きが耳元にフィットするピアス

「ヴィクトリアンジェット」カボッションピアス(※イヤリングも選択可) 素材:ジェット サイズ:(直径)約14mm、(高さ)約7mm

14ミリの丸玉をドーム型に研磨したピアスは、ネックレスとセットで身につけたときにバランスのよいサイズ感。控えめながら、耳元にぴったりとフィットし、気品ある輝きを放ちます。こちらはピアスとイヤリングの両タイプからお選びいただけます。

フォーマルな印象を高める格式高いブローチ

「ヴィクトリアンジェット」実りの葉ブローチ。素材:ジェット、シルバー925(留め具部分) サイズ:横68x縦57×高さ10.5mm 重さ:約17.5g 
裏側の留め具はシルバー素材。やや大振りでも軽いため、着用した際にブローチが重さでお辞儀をしてしまうようなこともありません。

「穐葉アンティークジュウリー美術館」所蔵のヴィクトリア期のデザインを復刻したブローチ。豊穣のシンボル、葡萄の葉がモチーフになっています。
礼服の際、皇室の方々がブローチを身につけたお姿を拝見することができますが、ブローチをつけることでよりフォーマルな場に相応しい格式高い装いとなります。そのため、今回はブローチを付けた3点のセットもご用意させていただきました。

天然の“ジェット”とは? その品質について

ヴィクトリア女王の時代、良質なジェットの原石はイギリスのノーク・ヨークシャーにある港町・ウィットビーで採掘されていました。その後、女王が「喪服の緩和令」を発令したことで、人々も再びダイアモンドや真珠などの宝石を身につけるように。それと同時に、多くの模造品などが横行していたジェット産業は急速に衰退し、ウィットビーの鉱山も閉鎖され、ジェットは歴史の表舞台から姿を消します。以降ジェットは“幻の宝石”としてヴィクトリア時代のアンティーク品が流通しているのみでした。

そんな中、約30年前に中国で品質の高い天然のジェットの原石が産出されたことをきっかけに、ヴィクトリア期のデザインを手本としながら高精度の仕上がりを実現した“日本初のジェット”が誕生します。それが今回ご紹介する「ヴィクトリアンジェット」のもの。天然のジェットは数百年変わらぬ品質を保ちますが、その希少性ゆえ価格が上昇している現状です。そのため、すぐに割れたり色が剥げたりといった模造品の流通も増えている問題も抱えています。そういった模造品の流通により、私たちが正しい天然のジェットを選別することが、より難しくなってしまっています。

今回ご紹介する​「ヴィクトリアンジェット」は、 英国宝石学協会で正式に天然ジェットとして鑑別されています。また現在の日本の皇室の方々が身に着けられているジェットは、代々伝わるジェットと同様に、この「ヴィクトリアンジェット」を正式に身に着けられています。

関連記事
【雅子さま】英国葬儀で話題になった漆黒の宝石「ジェット」。その気品溢れる喪の着こなしを紐解く>>

【漆黒の宝石ジェット】雅子さまはじめ皇室の喪のスタイルに欠かせないブローチ、ネックレス、イヤリング>>



鑑別書をつけたセットでお届けいたします

お届けの際は「ヴィクトリアンジェット」の箱に入れた形でのお届けとなります。
日本彩珠宝石研究所の鑑別書と品質保証カード、そしてジェットの歴史が楽しめるブックレットを同封してお届けさせていただきます。

私たちの暮らしのなかではまだまだ馴染みの少ない宝石「ジェット」ですが、その歴史は古く、長きに渡り人々の故人を悼む想いに寄り添ってきました。現在においても産出量が限られているため、天然のジェットは大変貴重な存在となっております。次世代に継げる宝石としても価値の高いジェットのジュエリー。ぜひこの機会にご検討ください。

関連記事
【皇族方のブラックフォーマル】黒の正装に合わせる宝石は、パールではなく「ジェット」。その気品ある輝きの魅力

撮影/大石葉子
構成・文/ミモレ編集部