【お悩み①】気分のムラに振り回される。思春期の頭の中はどうなってるの!?
母親からの質問「やけにハイになったり、どよ〜んと落ち込んだり、ケラケラ笑っていたかと思えば、急に怒り出したり。思春期の頭の中は一体どうなってるの!?」
大下ドクターからの回答「体は大きくなっても脳は“コドモ”。思春期脳は未成熟で不安定と心得て」
脳科学者の間では、つい最近まで、脳の成長は幼稚園に入る頃にはほぼ完了し、10代では大人の脳とほとんど同じになると考えられていました。ところが、それは大間違いでした。ここ10年で10代の脳についての研究が急速に進み、10代の脳は容積が大人と同じでもまだまだ未成熟であり、不安定な状態であることがわかってきたんですよ。
思春期は体が急激に変化する時期ですが、脳も大きく変化します。10代になると、頭頂葉と側頭葉が成熟して、身体能力や学習能力が飛躍的に伸びます。ところが、脳は一気に成熟するわけではありません。この、脳がどのような順番で成熟していくかが、思春期の情緒不安定の一因となるんですね。
脳の8割を占める大脳には、人類の進化の過程で発達してきた新皮質とそれ以前からある古皮質があります。古皮質は「爬虫類脳」「旧哺乳類脳」とも呼ばれるように、進化の過程でいち早く現われた古い脳です。食欲や性欲などの生存本能や、好き、嫌い、怒り、恐怖などの本能的な情動を担っています。
この古い脳に覆いかぶさるようにして発達した新しい脳が新皮質です。ヒトやサルなど霊長類で特に発達していることから「新哺乳類脳」とも呼ばれ、論理的な思考や高度な精神活動を行います。このような生物の脳の進化の過程を追うように、人間の脳は古皮質→新皮質の順に発達していきます。
では成長途中の思春期の脳はどうなっているかというと─、本能をつかさどる古い脳の成長に、理性をつかさどる新しい脳の成長が追いついていない状態なんですね。
脳の発達過程でわかる!思春期に不可解な行動が起こる理由
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