中学受験から撤退し、2022年の夏に小学6年生の子供と一緒にカナダのバンクーバー地域に移住してきた母親が執筆。今回は大学生以前の留学の是非について考えます。

 

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中学受験がうまくいかなくても、「帰国子女入試」で良い高校に入れるのか?

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我が家が小5で中学受験塾を辞め、小6で海外留学の道を選んだことから、なかには「数年留学したのちに、帰国子女枠で私立中学に転入、もしくは高校なり、大学なりを受験する作戦に切り替えた」と思われることも少なくありません。

帰国子女の試験は実際にはそう簡単なものでなくとも、「中学受験では入れなかったかもしれないレベルの中高一貫校に帰国子女枠なら入りやすい」というウワサもあるため、そのような方法を考えている人もいるかと思います。

ただ、我が家の場合、そうではありません。
留学を決意する前のこと。子供が中学受験塾に通い始めた当初は、あわよくば“良い学校”に入ってくれれば……という親の勝手な幻想を抱いたことがあるのは事実。もちろん、このときに考えていた“良い学校”とは、恥ずかしながら、「子供にとって良い学校」ではなく、「世間一般的に評判が良い学校」という意味です。
 

評判の良い学校に子供を入れるための留学ではない

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私が子供を海外に留学させたいと思ったのは、将来的に評判の良い学校に入れたいからではなく、子供の外交的で活発な性格は海外の自由な雰囲気のほうが合っているかもしれないと思ったこと、将来のために英語を身につけておいて損はないと思ったこと、加えて本人も英語がペラペラになりたい! と望んでいたことが主な理由です。

もし海外に住んでみて、子供自身が合わないと感じたら、帰国子女枠の入試の受験資格に必要な1年、ないしは2年の国外在住期間の経過を待たずに帰国を検討しようと思っていました。そして、渡航後も帰国生入試のために、ハードに勉強に励んでいるわけではありません(大きな声で言えることではありませんが笑)。
 

もし帰国子女枠での受験を望むなら、英語も日本語もブラッシュアップが必要

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どの学校を受験するかによって変わると思いますが、帰国子女なりの英語力を求められるはずですし、学校によっては国語(日本語)の試験もあるので、海外に住んでいながら、国語のレベルも上げていかなければなりません。住んでいる国や環境によっては、日本語を目にする機会がほとんどなかったり、家族以外と日常的に日本語を話す機会もない場合があったりするので、自発的に日本語のレベルを保っておく努力が必要です。

ある程度の年齢まで日本に住んできたのなら、海外に住んでも日本語の心配は必要ないでしょ? と思うかもしれませんが、現在12歳の息子は、小学校に日本語を喋る先生はゼロ、クラスメイトにもゼロ、全校生徒では日本からの留学生を含めても5人程度しかいないため、学校で日本語を話す機会はほぼありません。放課後は今はほぼ毎日野球に行っていますが、チームメイトにはもちろん日本人はゼロ。

そのため、息子が日本語で会話をするのは主に母親である私だけ。そのため、最近日本語が変? と感じることも出てきたし、本人も英語のほうが喋りやすかったりするときもあるそう。だから、日常的に日本語に触れる機会の少ない海外で、子供が日本語レベルを保つのは簡単なことではないと感じています。むしろ、確実に日本で高いレベルの学校に進みたかったら、その子によっては留学をしないという選択肢のほうがよい場合もあるはず。


結局、どんな方法を選んでも簡単な道というのはないし、こうすれば子供が大人になったときに困らないという正解もひとつではない。とにかく今は、元気で子供らしく、そして子供が毎日笑顔で楽しく過ごせ、自分で夢をもち、それに向けて逞しく過ごしていってくれればいいなと思っています。
 

海外に住むだけで「英語がペラペラ」になるのは“ウソ”?中学受験を撤退し留学した小学生親子の意外な現実
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構成・文/高橋香奈子
 

 

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