吉川ひなのさんの最新エッセイ『Dearママ』(幻冬舎)が、6月に発売されました。2年前に発売された前作『わたしが幸せになるまで 豊かな人生の見つけ方』(幻冬舎)は、自然豊かなハワイでの暮らしや子育てについて綴った一冊ですが、生い立ちを初めて明らかにし、注目を集めました。あれから2年、本作では、亡き母と真正面から向き合い、母について考えたことを自分の言葉で、丁寧に綴っています。吉川さんはなぜ、母とのことを書こうと思ったのでしょうか? また、書くという行為を通して得たものは何だったのでしょうか?
吉川ひなの
13歳でモデルデビュー後、一躍トップモデルに。数々の雑誌で表紙を飾り、女優や歌手としても活躍。2015年にハワイに移住し、夫と子ども3人とともにナチュラルなライフスタイルを実践。オーガニックコスメブランド「hinalea」や子ども服ブランド「Love the Earth blue」をプロデュースするかたわら、環境アクティビストとしてSNSやイベントを通して情報発信を積極的に行っている。
Instagram:@hinanoyoshikawa
文章を書く行為は、「本当の自分になっていく作業」
13歳でモデルデビューを果たした吉川ひなのさんの美しい容姿は、世間に大きなインパクトを与えました。ファッション誌の表紙を数多く飾り、「お人形さんみたい」と注目を集めていた頃のことが、今も鮮烈に記憶に残っている人も多いのではないでしょうか? 実はその頃、吉川さんは密かに作家になるという夢を抱いていました。
「本を書く人って素敵だなと思っていて、私も本を読むのが好きだったから、作家になるのが夢だったんです。実際は、日記を書いていたくらいなんですけど。でも、“ゆりかごもも”という作家名でデビューして、作品が文学賞をとって、その表彰式で、『実は吉川ひなのでした!』って登場したら……? なんてことを考えていました(笑)」
吉川さんが2021年に発表した『わたしが幸せになるまで 豊かな人生の見つけ方』、新刊『Dearママ』はともに、写真よりも文章が主体の本です。吉川さんがどんなことを感じ、考えているのか、心の内側を丁寧に言語化しているのが特徴。どの文章も、読み手の心にすっと入り込み、吉川さんの喜怒哀楽がダイレクトに伝わってきます。吉川さんの文章表現力の高さは、作家の吉本ばななさんにも、「もっと文章を書いた方がいい」と言われたほど。そんな吉川さんにとって、文章を書くという行為は、「本当の自分になっていく作業」といいます。
「仕事柄、こんなことを言わないほうがいいよね、といったことに対して、一生懸命そうであろうとしてきました。でもある時から、本当の自分でありたいとどんどん思うようになり、それが文章を書くことにも繋がっていきました。本を出すということは、私が書いた世界に遊びに来てもらって、そこで読者の方たちと交流しているような感じ。私の言葉が、読んでくれた人の何かのきっかけになれたらうれしいと思っています」
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