手のひら返しの田邊教授より、純粋な万太郎のほうが恐い!?


生涯を植物の研究に捧げ、新種や新品種など約1500種類以上の日本の植物を命名。その偉業から「日本の植物学の父」と呼ばれた牧野富太郎。今、彼を主人公のモデルにした朝ドラ『らんまん』がかなり盛り上がっていますよね。

植物をこよなく愛する主人公・万太郎が様々な障害を乗り越え、一目惚れした女性と無事に結婚。もちろん、これでめでたしめでたしといくはずもなく、今度は万太郎の才能を認め、何かと優遇してくれた田邊彰久教授が、手のひらを返したように牙を剥き始めました。

万太郎の手柄を横取りしようと画策したり、学歴のない彼を「虫けら」となじってみたり……要潤さんの好演もあって、劇中での田邊教授は憎々しい悪役に収まった感がありますが、筆者は彼の腹黒さよりも、万太郎の純粋さのほうに恐怖を感じています。

おそらく、田邊教授の嫉妬や名誉欲は、生きた時代や職業が異なる筆者でも何となく理解できるからでしょう。一方、万太郎の植物に対する無限の愛情、しかも美しい新妻そっちのけで夜な夜な研究に没頭するその精神構造は、一生かかっても理解できないと思うからです。万が一、万太郎のような人が競争相手だったとしたら、筆者も平静を保っていられる自信がありません。

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朝ドラ『らんまん』のモデル・牧野富太郎。小学校中退に浮気...破天荒な人生の真相を明らかに! >>


では、実際のところはどうだったのでしょう? 田邊教授の手のひら返しはドラマを盛り上げるための創作なのか──今回は光川康雄さんによる評伝『牧野富太郎 草木を愛した博士のドラマ』から、田邊教授のモデルである東京大学初代植物学教授・矢田部良吉と、牧野富太郎の関係に焦点を当てて真相を探りたいと思います。そこから、良くも悪くも人の心を動かしてしまう富太郎の強烈な人物像が浮かび上がってきました!

 


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在りし日の牧野富太郎
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