日本のマンガやアニメが、海を超えて世界中のファンを魅了していますが、新たな注目作『LILI-MEN』が週刊ヤングマガジンで連載されています。本作は、人類を苗床に繁殖する種族「殖魔(サキュバス)」と、彼らを根絶しようとする人類という相容れない2つの種族の戦いを描いたバトルもの。実は、作者の渡嘉敷拓馬先生は、ハリウッド映画のCGアーティストという異色の経歴の持ち主。CGアーティストとしてのテクニックをどう生かしているかなど、渡嘉敷先生にもお話をお伺いしました。

『LILI-MEN』(1) (ヤンマガKCスペシャル)
 


謎の病院に収容された人々、施設の真の目的とは?


主人公のニトは、生まれた時から謎の病院暮らし。病院の先生曰く、ニトたちは「外の人より体が弱い」とのこと。そこで彼らは、普通の体になるまで検査をして、晴れて合格したら退院し、外に行くことを夢見ています。ところが、ニトは何度検査を受けても結果を残せず、毎日腕立て500回を自分に課してもだめ。周囲からも落ちこぼれ扱いされています。

 

それでいて、彼は至って素直で、バカ正直なところがあります。誰かに騙されても、「人を疑うと色んなこと考えないといけないだろ。俺はバカだからさ 疑うより信じてる方が楽なだけだ」と言うようなところがあるのです。そんなニトが外に出たいと思っているのは、「ふわふわのパンという食べ物がある」「猫という動物もふわふわらしい」といった、昔読んだ本に書かれた外の世界を自分でも体感してみたいから。シビアな環境で暮らしているものの、ニトの明るさに救われている仲間もいたのです。

 

しかし、ニトたちが入院している施設は病院なんかではなく、自力では生殖できない種族「殖魔(サキュバス)」が、自分たちの卵を植え付ける“苗床”としての人間を飼育する施設。深夜に地下室に迷い込んでしまったニトは、偶然この衝撃的な事実を知ることになるのです。

 

「サキュバス」に見つかって、胴を真っ二つに裂かれたニトは、力を振り絞って、彼と仲が良かった仲間が苗床化している“塊”に自らをねじ込み、内側からぶっ壊そうと試みます。中にいたのは、かつての仲間たちと、「サキュバス」の胎児。

 

仲間たちが、自分たちが外の世界に行けなかった夢を託すべく、ニトに力を注ぎ込んだ時、奇跡が起きます。人間を苗床にするはずの「サキュバス」の胎児が、逆にニトの苗床となり、ニトは超常的な力を得ることに。この時、病院で潜入捜査を行っていた謎の女性公安捜査官がニトを外に連れ出すものの、人間たちが暮らす外の世界からしてみれば、「サキュバス」は人類の敵。ヒトか「サキュバス」かわからないニトは、目の敵にされることになるのですが、その圧倒的な力に公安殖魔対策局、通称“マルサ”が目をつけ、否応無しに種族間の戦いの渦に巻き込まれていくことになるのです。

 
 
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