夫:「必要ないのにわざわざ働くなら、それは仕事ではなく趣味」


「この事件がきっかけで働きたいと強く思うようになりましたが、当時は子どもを預ける先がなくて苦労しました。今よりも待機児童が問題になっていた頃で、働いていないと保育園に預けられない、でも預けないと働けない、という感じで。

色々と試行錯誤して時間はかかりましたが、長男が幼稚園に入ったとき、ちょうど近所に認可外保育園ができて次男も預けられることになりました。そこでFacebookで『仕事がしたい』と投稿してみると、知人から小さなベンチャー企業の事務アルバイトを紹介してもらえたんです」

小百合さんは妊娠により大学を中退して専業主婦に徹していたため、社会人経験はゼロ。本来であれば、勤め先を探すのはかなり難しかったはずと仰いますが、このFacebookの発信が大きなきっかけだったそう。

「夫は、私が働くのは基本的にNGでした。生活に困っておらず、特に必要ないのにわざわざ働くなら、それは仕事ではなく趣味だ。だから育児家事は今まで通りやれと強く言われました」

 

「また『働いているんだから』と、これまである程度十分に使えていた生活費がもらえなくなりました。むしろ稼いだお金半分は家に入れろと言われ、毎月お給料日に手取り額の半分を夫に渡すことになったんです。

家賃や光熱費、子どもに関するお金など、口座から自動的に引き落とされるものは夫が払ってくれていましたが、食費や消耗品は私が残りのお給料から自分で払うことになったので、経済的にはむしろキツくなりました。いつもお金がなかったです」

 

妻の仕事を「趣味」と言い、育児家事は通常運転させながら、なぜ半分もお給料を渡さなければならないのか……。筆者は言葉を失ってしまいましたが、やはり小百合さん夫婦の間には目に見えない強固な主従関係が見事に定着していたようです。

ちなみに小百合さんは年月をかけてコツコツと収入を増やし、アルバイトから業務委託、契約社員とキャリアを積んでいきましたが、月の手取り額は当時は多くて20万円ほど。手元に残った10万円でやりくりするのは簡単ではなかったそうが、しかしだからこそ「私1人でも何とかなるかもしれない」と、少しずつ自信をつけていったそうです。

そして気になるのはこの間の夫の暴力ですが、大きな怪我はないものの、やはり言うことを聞かない子どもを家の外に出す・手を強く引っ張る・どつく・軽く叩くようなことは度々あったそう。

これらは小百合さんが少し目を離した隙に起こることが多く、同じマンションの隣人から「お子さんが裸足で玄関に立っていたけど……」と報告されたことも。

小百合さんは注意深く子育てをしながら自立に向けて仕事にも奮闘していましたが、夫は再び次男に手を挙げ怪我をさせ、小百合さんはついに家を出る決心をします。

来週公開の続きでは、夫のDVによる児童相談所の介入、職歴ゼロの専業主婦から2人の子連れで別居に踏み切るまでの詳しいお話を伺います。

写真/Shutterstock
取材・文・構成/山本理沙
 

 

 

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