──保護犬・保護猫を預かりたいけれど、単身者や高齢者などは断られてしまうとも聞くのですが。

書籍でも触れていますが、飼い主が手放すケースの7割は高齢者であるというデータがあります。私自身の肌感では7割以上なんじゃないか……と思ってしまうほど、高齢者が手放すケースが多いんですね。

犬や猫の譲渡会を行なっていても、70〜80代の方が子猫や子犬が欲しいと言われて来所されることがあります。でも、現状多くの団体や行政では60〜65歳以上の方への譲渡を禁止されているところが多いです。

犬や猫の平均寿命ってどんどん伸びていて、それに伴い介護やお世話の大変さも増しているんですよね。

例えば65歳で子猫を迎えたとしても、看取りの頃には85歳です。85歳で毎日の通院や投薬管理、寝たきりの介護や夜鳴きの対応などをしなければならない、ということです。30代の私でも、看取りは体力的にも精神的にも結構しんどいところがあるので、それを80代でできるのか……。少し難しいように感じます。

飼い主が施設に入所したり、入退院を繰り返していたりで、手放す選択をされる方々って「手放したくて手放している」方はほとんどいないんですよね。一緒にいたいけど、いてあげられない……そんなケースが多いんです。近くに家族がいたり、頼れる隣人がいたりすれば、そんなことにはならないんですけどね。

今のご時世、時代に合った飼い方を考えるのであれば、責任をもって「犬猫を飼わない」という選択も立派な動物愛護だと思います。

動物に触れ合いたいのであれば、体力に自信がある方は預かりボランティアをしてみたり、シェルターのボランティアに参加されてもいいと思いますし、私のように、看取りの近い老犬や老猫を引き取ってお世話してもいいと思いますよ。

ちなみに私の場合は、一人暮らしでも条件付きで譲渡していますし、最終的には私がフォローしますということで、誓約書をお渡ししたりもしています。高齢者の場合、赤ちゃんの犬猫を引き取るのはちょっと難しいので、7歳とか10歳とか、ある程度の年齢の子を視野にいれていただけたら嬉しいです。

【どうして飼い猫を手放してしまうの?】「動物を飼うときにまず必要なのは、

幸せな復讐とはいったい何なのかを教えてくれた“くるみちゃん”


──ちなみに「フォロー」というのはどういうことですか?

困った時にいろいろと相談にのっています。病気かな? とか、最近歩き方がおかしいような? とか、いろいろと不安になることもあるので。LINEで質問に答えたり、状況をライブ動画で見せていただくこともありますし、改善しなければお宅に伺うこともあります。

「売ってしまえばそれで終わり」のペットショップより手厚いです。保護活動者の目的って「動物の譲渡」でなく「動物が幸せになること」ですから。

相談できる相手が先に見つかっているわけですから、初心者こそ保護犬、保護猫! と私は思っています。もちろん「譲渡して終わり」の団体もあるので、そこはちょっと気をつけて選んでもらったほうがいいかもしれませんが。

──きちんとした保護団体を見極めるポイントはありますか?

「自分の可愛い子供を誰かに預ける時、こういう対応をするか?」と考えるとわかりやすいかもしれません。

例えば、体調が悪い子供を誰かに預けたりしませんよね。ウイルス検査をしてないとか、手術がまだ全部終わっていないとか、簡単な病気や異臭に気づけていないとか。その子が抱えているハンデについてきちんと説明があるか。

それに、今日あったばかりの相手に「どうぞどうぞ、連れてって下さい」ということもしませんよね。

保護団体がその子をどれだけ大事に思っているか、その点を見極めることが大事かなと思います。
 

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tamtam (著)

公益財団法人の保護施設からブリーダー勤務を経て、現在は個人で犬猫の「一時預かりボランティア」を行っているtamtamさん。自身の経験を通した保護猫たちとの日々を優しい絵と文章で綴っています。SNSに投稿され多くの反響を呼んだ猫たちとのエピソードに、大幅な描きおろしを加えたかけがえのない6つの物語。小さな命から「今を生きる」意味を考えさせられる、愛と感動の実話は必見! 本書の売上の一部は、保護猫の支援活動などを行っている団体に寄付されます。



取材・文/渥美志保
編集/立原由華里
 

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