女性への性暴力を繰り返していたハリウッドの超大物プロデューサー、ハーヴィー/ワインスタイン事件を暴いた2人の女性ジャーナリストを描いた『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』で始まった今年は、そういう女性監督による必見の作品が多かった。同作の監督はドイツ人のマリア・シュラーダーで、彼女たちが「普通とは違うキャリアウーマン」ではなく、妻であり母であることも同時に描いているのが印象的でした。
『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』
DVD: 3980円 (税込)
発売元: NBCユニバーサル・エンターテイメント
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ちなみにこのシュラーダー監督の前作『アンオーソドックス』(Netflix)は、男性があらゆる権力を握る閉鎖的な宗教コミュニティから脱出したヒロインを描くドラマなのですが、この6月に公開された『ウーマントーキング 私達の選択』もまた、ある小さな宗教コミュニティの実話をもとに描いて衝撃を与えた作品です。
今の時代に「ほぼ19世紀」の生活――女性たちが文字を学ぶことが許されない――を送るその場所で、毎朝女性たちの身体に残る暴力の痕跡が、それを「妄想」と片付けてきた男たちによる、薬をもられた上のレイプだったことが発覚します。映画は「残って戦う」と「出ていく」の選択を迫られた女性たちの議論を描くのですが、その既視感たるや。タイトルに込められた「言葉のない場所には沈黙しかない」という思いも、今の時代にこそ響くメッセージです。
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