日本の人手不足がここまで深刻化したワケ。現場の声に「けしからん」経済界トップが発言..._img0
写真:Shutterstock

物流2024年問題に代表されるように、今の日本では人手不足が深刻化しており、基本的な経済活動の維持すらままならない状況に陥っています。なぜ日本でだけこのような特殊な問題が発生するのか疑問に思っている人も多いと思いますが、その原因を見事に説明してくれる教科書のような発言が経済界のトップからありました。原因こそ単純ですが、問題は根深いですから、解決は容易ではないかもしれません。

 

発言の主は、関西経済連合会の松本正義会長(住友電気工業会長)です。松本氏は、大阪万博のパビリオン建設をめぐる「デッドラインは過ぎている」という建設業界幹部の発言に対して怒りを爆発させ、「建設会社はけしからん。万博を成功させようというコメントはどこにもない」と発言。さらに続いて「絶対に万博は成功させなくてはならない」「やめるとか延期するとか(言う人がいるが)、(中略)絶対に許されない」「松本が怒っていたと、書いておいてほしい」など、精神論を延々とまくしたてました。

冒頭でも記したように、今の日本では空前の人手不足が発生しており、あらゆる分野で業務がうまく回らないという事態が発生しています。特に現場仕事を必要とする業界の人手不足は極めて深刻です。重要なのは、今、発生している人手不足は決して一時的な要因ではなく、日本経済の仕組みそのものに起因する構造的問題であるという点です。

より具体的に説明すると、日本は人口減少と高齢化が進んでおり若年層の人口比率が急激に低下しています。つまり、総人口が同じであったとしても、高齢者の比率が上がり、若者の比率が下がっている状態です。実は諸外国でも程度の違いこそあれ、少子化や高齢化は進んでいるのですが、日本のような深刻な問題は発生していません。その理由は、組織運営のあり方や個人のキャリア形成が日本とはまったく異なるからです。

日本企業では、職務の専門性に基づいて採用や昇進が行われるのではなく、新卒一括採用、年功序列の人事を基本としてきました。職種の専門性は重視されないため、一定以上の年齢になると誰もが皆、管理職になり、現場の仕事から外れます。したがって会社の中で現場仕事に従事するのは基本的に若い社員ということになります。

 
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