共通する圧倒的なエンタメ性の高さ

いろんな作品を取り上げましたが、全部の作品に共通するのって、とにかく面白い! ということ。社会問題を扱っているから気難しい、堅苦しいみたいなのを一切思わせない、引き込む展開と技術で圧倒する。そんな作品ばかりです。

いろんな配慮がされている作品って(配慮と言う言葉、少し上から目線なニュアンスがあって好きではないのですが)、作り手の意識が高いからか、どれもエンタメとしての完成度というか、作りの重厚さみたいなのがしっかりあるんです。何かに配慮することって、「ポリコレ棒」みたいに揶揄されることもあるのですが、全方位に配慮する意識は、作品の質を高めると思います。さまざまな配慮をすることで、「いろんな制約が生まれてつまらなくなる」のではなく、今までになかった新しい表現が生まれ、むしろどんどん面白いものが生まれ、全体が底上げされていくと感じます。

 


視聴者は聡い

もちろん、中には倫理的にアウトだけど「面白い」と評判になるものだってある。でも、見る人が見れば、ほころびみたいなものって分かるし、いずれ批判されるようになるでしょう。

 

ドラマで描き方に疑問の声や非難の声が上がる時、必ず「いやフィクションだから」「フィクションの中でくらい自由にさせろ」みたいな反応があります。でも、AIではなく、同じ人間が作っているもので、しかも地上波で流れるのですから、現実世界の人間に必ず影響を与えます。やっぱり作り手の意識って、伝わるし、ごまかせないものだと思います。視聴者は賢いし、意識が高い作り手はちゃんと評価される時代になっていると思うのです。


写真:Shutterstock
文・構成/ヒオカ