大学の授業でも福祉関係を選択


―――どうして日赤を選ばれたのでしょうか?

日本赤十字社の名誉総裁は、歴代の皇后陛下が就任されていて、現在は雅子さまが務められています。昨年10月には、ご一家で日本赤十字社本社をご訪問になり、被災地などの救護活動で命を落とした看護師たちの慰霊碑に花を供えて、拝礼されていました。また、関東大震災からちょうど百年目にあたった年であり、日赤の企画展をご覧になって、当時の救護活動や医療器具などを興味深くご覧になるなど、日赤の事業・活動には、関心を持たれていたようです。

2024年2月、能登半島地震の発生状況や政府の対応などについて説明を受けられる天皇ご一家。写真/宮内庁提供

2月の天皇陛下の64歳の誕生日に伴う記者会見で、陛下は愛子さまの就職についての受け止めを話されています。引用がやや長くなりますが、陛下が話されていることをそのまま紹介した方が、その経緯がよく分かると思います。
 

 


日本赤十字社への就職に関しては、愛子は、成年の記者会見の時にも、「自分の住んでいる街であるとかないとか関係なく、人の役に立とうと懸命に活動している災害ボランティアの姿に非常に感銘を受けました」と申しましたように、人のために何かできればという思いを以前から持っていたように思います。そのような中で、愛子は、昨年には私や雅子と共に、日本赤十字社から日赤の行っている様々な活動についてのお話を伺ったり、日赤本社で開催された関東大震災時における日赤の救護や医療活動などの展示を見に伺う機会がありました。このようなことを通じて、日赤の活動に携わることで、少しでも社会に貢献したいという気持ちを強く持つようになったと思われ、私たち家族ともよく話し合い、日赤で勤めることを希望いたしましたところ、日赤側にも快諾していただいたことはとても有り難いことでした。
 

動物とふれ合う愛子さま。写真/宮内庁提供


さらに関連質問で「愛子さまが福祉や日赤に関心を寄せられるきっかけとして思い当たるものが何かおありか」と聞かれ、
 


愛子は私たちの手元で育って、そして私たちが色々やっていることを間近に見てきていると思います。そのような中で、私たちも福祉についての話を愛子にすることもありましたし、いつの時点で、愛子が福祉に関心を持つようになったか、その辺はよくは分かりませんけれども、私たちの話などを聞きながら、そしてまた、自分自身でも自然にそういった福祉について関心を持つようになり、そして、今も話しましたけれども、何か福祉を通して人々の役に立ちたいという気持ちが徐々に形作られていったのではないかというように思います。
 


と答えています。