男性の更年期障害で苦しいときは泌尿器科へ!

 

男性更年期障害のさまざまな不調のおおもとは、テストステロン値が低いこと。不足しているテストステロンを補充すれば、症状は劇的に改善します。

 

テストステロン補充療法(TRT)では、2週間、あるいは4週間に1度通院し、合成テストステロン剤の筋肉注射を投与するのが一般的です。

注射を打つと、投与後3日ほどで血中のテストステロン濃度はピークとなり、そこからぐんぐんと下がっていきます。次の注射を打つころには、補充したテストステロンは体から消えている状態。高テストステロン濃度のときには抑えられていた症状が、また顔を出し始めます。そこでもう一度注射を投与し、テストステロンを補充する。こうして、一定期間の間にテストステロン濃度の変化を人為的に起こします。

ほとんどの人はこの治療を3ヵ月から半年ほど続けることで、次の注射の投与直前になっても症状があらわれなくなっていきます。こうなれば、低テストステロン状態に体が順応した、ということ。TRTは終了するのが一般的です。

注射に抵抗感がある人には、テストステロン配合の塗り薬も市販されています。処方箋がなくても、薬局やドラッグストアで購入できて手軽な半面、価格は保険適用で受けられる注射よりも高額です。また、肝機能の低下や、前立腺がんがあるときには、病気を進行させてしまう心配も。使用前には、必ず前立腺がんの検査をするべきです。一度、泌尿器科で相談、検査をしたのち、希望があれば軟膏の使用について医師に相談してみるのがよいでしょう。


著者プロフィール
佐々木春明(ささき はるあき)さん

昭和大学藤が丘病院泌尿器科教授医学博士。1986年昭和大学医学部卒業。同大学藤が丘病院泌尿器科講師などを歴任し、2007年より現職。日本性機能学会専門医、日本泌尿器科学会専門医・指導医。世界男性更年期障害学会ほか国際学会にも多数参加。

甲賀かをり(こうが かをり)さん
千葉大学大学院医学研究院 生殖医学(産科婦人科学)教授。1996年千葉大学医学部卒。2003年東京大学大学院修了。武蔵野赤十字病院などを経てプリンスヘンリー研究所・イエール大学留学。帰国後、東京大学講師、准教授。2023年より現職。日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本女性医学学会認定女性へルスケア専門医。

 

 

『マンガでわかる!男女で知っておきたい更年期』
著者:佐々木春明 (監修)/甲賀かをり (監修)  主婦の友社 1650円(税込)

男女それぞれの更年期の原因や特徴、更年期症状の療法などを、マンガを交えてわかりやすく解説します。「つらいもの」「耐え忍ぶもの」といった更年期にまつわるネガティブイメージを取り払うだけでなく、更年期に苦しむ人への理解を深め、より良い人間関係を築くための有益な情報を提供してくれる一冊です。


マンガ/下地のり子
構成/さくま健太