渡された生活費は5万円


専業主婦を否定するわけではありませんが、これまでの取材の話を聞く限り、経済力を手放すと何かと不自由が発生する女性も多く、リスクのある選択ではあるのかもしれません。

「この人なら間違いない」と思える相手でも、やはり他人。突然豹変することや、予想もしなかったピンチに陥ることがあるからです。
 

 


ちなみに春奈さんの場合は、結婚前に夫の本性が垣間見える予兆などはなかったのでしょうか? 

「よく聞かれますが、正直、まったくわかりませんでした。夫は営業職なこともあり、とにかく外面も人当たりもよく、コミュニケーション能力も高くて……。結婚するまでは攻撃的な面も一切見せず、優しくて包容力のある大人の男性と信じていました。

とはいえ、当時私は若くて経験値もなく、本性を見抜く力がなかっただけかもしれません。大人の男性が反抗期の中学生みたいに切れて暴れる可能性も、罵詈雑言を浴びせられる未来も想像もできなかった。当時は夫が好きだったし、尊敬もしていたんです」

 

春奈さんは仕事をわずか3ヵ月で辞め専業主婦になり、その後すぐに妊娠が発覚。夫との出会いからわずか8ヵ月ほどの出来事でした。

高価な婚約指輪をプレゼントされ、また急遽行った結婚式も多くのゲストを呼んだ豪華なもの。まさに幸せの絶頂、周囲の友人からも羨ましがられた結婚だったそうですが、その後まもなくして春奈さんは夫に違和感を持ち始めたのです。

「最初に『え?』と思ったのは、専業主婦になった私が渡された月の生活費が5万円だったことです。夫は結婚費用が嵩んだし、私は家賃も光熱費もかからないんだから5万円で十分だろうと言いました。さすがに足りない、と思いましたが、強めに言われると何も言い返せなくて。

でも5万円なんて、食費と消耗品を少し買えば終わる額です。私が自由に使えるお金はゼロで、出産の準備品なども自分の貯金を切り崩すことになりました」