北澤 いや、そんなには……。キャラクターものは昔も今も好きなんですが。もし私の絵を可愛いと思っていただけているのであれば、それは前回お話した、フランセなどで一緒にお仕事をしているアートディレクターさんのおかげかもしれません。彼が仕事を通して私のそういう部分を引き出してくださったので。
中田 イラストレーターになろうと思われたきっかけは?
北澤 10歳から26歳までずっとアメリカだったんですが、高校でアートのクラスが必須だったんです。その時の先生が、君の絵は面白いね。他にやりたいことがないのだったら、おすすめの大学があるよ、と近くの大学を教えてくれたんです。当時、ディズニースタジオがある町に住んでいて、そこの大学にはディズニーの方がよく教えに来てくれるなど、アートデパートメントが充実していました。そこでイラストレーションのいい先生に出会いまして、そのまま就職せずに大学院に行き、先生をやった後、日本に戻ってきました。でも日本には知り合いがいないから、仕事は全然で。友人のバンドのCDジャケットを作ってwebにアップしたりしていたら、それを見た講談社の方が、本の装幀の仕事をくださったんです。そこから徐々に日本での仕事が増えていきました。
中田 そうだったんですね。その高校時代や、大学の先生との出会いもまた運命ですね。
北澤 ほんとそう思います。それがなかったら、絶対絵なんか描いていないと思います。日本にいた頃は写生がすごい嫌で、仮病を使って休んだりしてたぐらいでしたから。たぶん、思い通りに描けないのが嫌だったし、恥ずかしいと思ってたんでしょうね。
中田 アメリカっていう、自由な風土の中で描けて学んだのが良かったのかもしれないですね。
北澤 それはすごく思います。あっちはやっぱり、なんでも褒める文化なので。何事も褒めて褒めて褒めてでしたから(笑)。
内面はダーク? 北澤さんの本棚から見えてきたもの
中田 それにしても北澤さんの本棚、うちにもある本がいっぱい! 『ラチとらいおん』『じぶんでひらく絵本』『ブルッキーのひつじ』、この本は装幀も素敵ですよね。それから『すてきな三にんぐみ』に、『風の谷のナウシカ』もある!エドワード・ゴーリーも……。なんだか北澤さんという人がよりわかった気がします。北澤さん、内面は結構ダークだったりしませんか(笑)? ムーミンでいったら原画のほうがお好きな感じ……。
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