今はSNSでだれでも情報を発信できる時代。あなたが知りたかった情報は、誰かがネットの海で発信しているかも。本特集は、ミモレ編集部から「新たな視点を得ることができる」「癒しになる」「知らない世界のリアルがわかる」情報をSNSで発信し、密かにバズっている人=「バズり人(びと)」さんのSNSアカウントをご紹介します。

今回は、読書インフルエンサーとしてInstagramで人気の大島梢絵さんにインタビューしました。梢絵さんは、会社員・アナウンサーを経て、現在は新潟県新潟市でご夫婦で「カレーとごまどうふの店 石本商店」を営みつつ、読書インフルエンサーとしても注目されています。5月10日に初の著書『読書は鼻歌くらいでちょうどいい』が発売されたばかりの梢絵さんに、読書記録の発信を始めた理由や、読みたい本の見つけ方などについてお聞きしました。

忙しくて本が読めない元会社員・アナウンサーが読書インフルエンサーになるまで。「本好きの会」を主催する大島梢絵さんのこだわり_img0
 


読書記録は心に響いた言葉と、その理由を書いている


――大島梢絵さんは、会社員やアナウンサーをされていたとのことですが、なぜ、本についての発信を始められたのでしょうか。

大島梢絵さん(以下、梢絵さん):もともと本を読むタイプではなく、学生時代は本と無縁の生活をしていたのですが、社会人1年目の時、本屋さんで糸井重里さんの『ボールのような言葉』に出会い、「言葉って面白い」と感じるようになって、本を読むようになりました。

Instagramで、本について発信を始めたのは2022年の夏からで、本を読める人になりたかったからなんです。それまでは月に1、2冊読めばいいかなくらいでしたが、もっと毎日読書する人になりたいと思ったので、Instagramで「毎日本を読みます」と宣言することで自分にプレッシャーをかけて、発信の力を使って毎日読書をするようになりました。

――日々の読書のポスト(投稿)で、心がけている点などありますか。

梢絵さん:私の読書記録は本の感想というより、本の中から心に響いた言葉を引用して、なぜその部分が心に響いたのかという理由を書いています。新しい考え方を感じたり、美しいと感じたりした表現、何度でも読み返したい部分をInstagramに残しておくことで、いつでも読み返せるようにしているんです。

読み返したい言葉は書き留めておく


――予想外に反響があったポストはありましたか。

梢絵さん:特定のポストはないのですが、フォロワーさんたちが私の読書記録を見て、真似して同じ本を読んでくれることには驚きました。最初は、自分が本を読めるようになりたい、心に響いた言葉を読み返したいという気持ちでInstagramに投稿していたんですが、「梢絵さんの紹介する本が面白そうだから買ってみた」とか「いつも本屋さんで、梢絵さんのインスタを見て本を選んでいます」と言われることが増えて、そんなに真似してもらえているのか、とびっくりしましたね。
私がそもそも読書をしないタイプだったので、読みやすい本が多いのかもしれません。あと、小説も自己啓発本もいろいろ読むので、ジャンルに縛られないのもいいのかもしれません。
 

 


「本好きの会」では小説が人気。その理由は⋯⋯


――読書インフルエンサーとしての活動について教えてください。

梢絵さん:日々の読書記録の発信活動以外には、飲食店で「本好きの会」を設けて2カ月に1回、課題図書を設けてみんなで語り合ったり、本にまつわる話をしています。2023年の1月から始めて、もうすぐ1年半経ちます。

――「本好きの会」にはだいたい何人くらい集まるのでしょうか。

梢絵さん:15人前後です。男女比はほとんど女性で、男性はいつも3名程度です。年齢層は50代、40代、30代、20代が同じくらいの割合で、ほぼリピーターの方です。最近はリピーターの方の割合が多くなってきたので、 次回の6月末に行う「本好きの会」は、2日間に分けて新しい方も来やすいようにしています。

「本好きの会」に関するお知らせ


――そんなリピーター続出の「本好きの会」の魅力とはどんなところなのでしょうか。

梢絵さん:1冊の本でも、参加者ひとりひとりの視点や目のつけどころが全然違うので、本を通じて自分を見せ合っているような会だと感じられるところですね。そこがみなさん面白いみたいで、好評なのかなと思います。

――課題図書はどのように選んでいるのでしょうか。

梢絵さん:最初は、本屋大賞の受賞作など話題の本を選んでいて、小説や自己啓発本などいろんなジャンルを選んでいましたが、最近はみなさんの反応を見ながら選ぶと、小説を課題図書にすることが多くなりました。

恋愛小説だと、参加者の方の過去の恋愛経験や価値観があぶり出されますし、男女で意見の違いが露骨にわかったりするので、すごく面白いし盛り上がるんです。

――小説の方が解釈に幅があるから面白いのでしょうか。

梢絵さん:そうだと思います。 自己啓発本やビジネス本だと「ここがいいよね」という感想の見せ合いで終わってしまうんですが、小説だともっと奥が深く、同じ場面でも50代の人と20代の人、男女でも視点が全然違って、無限に話が広がっていくのが面白いんです。

「本好きの会」で登場した本のアーカイブアカウントも!