トランプ氏「大学卒業で永住権」は実現可能? 移民大国アメリカにおけるグリーンカード取得の“想像を絶する”難易度_img0
写真:AP/アフロ

トランプ前大統領が、移民政策に関して驚くべき発言を行いました。米国の大学を卒業した人全員に自動的にグリーンカード(永住権)を付与するという、にわかには信じがたい内容ですが、同氏が大統領に就任した場合、このような政策が本当に実現するのでしょうか。
 

 


トランプ氏は大統領選挙で再選を目指していますが、移民に対して否定的な発言を繰り返しており、これが保守層を中心とした支持基盤獲得につながっているといわれます。ところが今回の発言は、従来のスタンスとは正反対の内容とも受け取れます。

米国は移民大国ですから、常に多くの移民を受け入れているというイメージがありますが、実はそうではありません。米国は国籍を保有していなくても、永住権(グリーンカード)を取得できれば基本的に米国に住み続けることができますが、現実問題としてグリーンカードを取得するのは並大抵のことではないのです。

米国はもともと移民で成り立っている国であり、世界の中でもっとも豊かで、経済活動が活発な国ですから、多くの人たちが米国への移住を希望します。こうした移住希望者に対して、無制限に永住権を付与するわけにはいきませんから、グリーンカードの付与については、厳しく制限しているのが実情です。米国が多くの移民を受け入れているのは事実ですが、それをはるかに上回る移住希望者がいるため、現実には希望者の大半が拒絶される状況となっているのです。

グリーンカードを取得するためには、米国人と結婚するなど婚姻関係を結ぶか、そうでない場合には、米国経済、米国社会に貢献できる高度な人材であることを証明しなければならず、そのハードルは極めて高いものとなっています。米国の大学を出て学位などを取得し、さらに企業や研究機関で働いて成果を上げるなど、相当な実績を持つ人でなければグリーンカードの取得は難しいと思ってよいでしょう。

永住できる権利であるグリーンカード取得はもちろんのこと、米国で一時的に働くためのビザ(査証)取得ですら、簡単なことではありません。


米国の大学はビジネスとして、積極的に留学生を集めており、日本からも多くの若者が米国の大学に入学しています。しかしながら、米国の大学をただ卒業しただけでは、米国企業に就職するのは困難です。

 
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