高齢者にとって、食事は楽しみで、生きがいにもつながるとても重要な行動です。しかし親が高齢になってくると、食事に関する心配がでてくるのではないでしょうか。
食は健康問題に直結するので、問題が大きくなるまえに気になることをクリアにしておきたいもの。昨今はさまざまな商品やサービスが出ているので、それらを利用すれば少しは解消されるかもしれません。そこで今回は、親の介護に長年携わってきた筆者・渋澤が、高齢親の食生活における悩みを解消するヒントを紹介します。
前回記事
見守りカメラからポータブルトイレまで、高齢親の「困った!」はこれで解決!>>
・油断は禁物、熱中症の発生場所は4割が住居内
・お悩み② 固いものを食べられない親の食事の準備が負担
・お悩み③ 食事中に粗相だらけの母親を手助けすべき?
お悩み① 高齢の親が水分を摂ってくれない……
■車で30分の距離にひとりで住む父親を見守る美里さん(48歳)
美里さん:今年に入って父親の食欲がガクンと落ち、水分も摂らなくなってきました。加えてこの暑さでとにかく何も口にしたくないとボヤいています。水も飲まないようでは、いつ熱中症になってもおかしくないと気が気ではありません。食べないことも心配ですが、せめて水だけでも……と思っています。もともと水を飲むのが苦手な人ではありましたが、そんな父でもうまく水分補給できる方法はないでしょうか。
渋澤:高齢者は若い人に比べて体内の水の量が少なく、喉の渇きを感じる機能も低下しているので、意識的な水分補給が求められます。それにも関わらず、なかなか水分を摂ってくれないという話はよく聞きます。トイレが近くなるのを嫌がって水分補給を控える、もともと水を飲む習慣がないなど理由はさまざまですが、私も母の介護では同じように水分補給の難しさに悩まされました。そこで目を付けたのがゼリーです。介護現場では、ゼリーも水分補給としてカウントされていることをご存知でしょうか。
ゼリー飲料トップブランドの「inゼリー(森永製菓)」では、咀嚼機能や消化吸収機能が低下した高齢者の補食として、栄養素の補給に適した「inゼリーエネルギー」「ビタミン」「プロテイン」の3つを勧めています。
このような市販のものだけでなく、ゼリー状飲料や水ゼリーを手作りし、自分好みに味をアレンジするという方法もあります。
②氷水に当てて粗熱を取り、型に入れて冷蔵庫で1時間固める。
③黒蜜やはちみつなどで味に変化をつけると美味しく食べられます。
油断は禁物、熱中症の発生場所は4割が住居内
熱中症予防には、塩分と水分の補給が欠かせません。熱中症の段階まで行ってしまうと、水分だけでなく大量のナトリウムも失われた状態なので、水分補給に加えて適切な電解質の補給も重要になってきます。
脱水症になると通常点滴を投与しますが、予防と治療においては身体への負担が少ない経口補水液を医師も勧めており、この経口補水液にもゼリー状ものが数多く発売されています。たとえば、大塚製薬が出しているオーエスワンゼリー。経口補水液はスポーツドリンクより電解質濃度が高く、軽度から中等度の脱水症における病者用食品として認められており、こちらのゼリー1パウチ200gは、液体タイプの200mlと同等の成分が含まれています。
発生場所は4割が住居内と言われている熱中症。これからの季節は特に「外に出ないから大丈夫」で済ませず、高齢親の水分不足は常に気にしておきたいものです。なお、熱中症については、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
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