「おいしい情報ならこの人」という信頼厚い人気料理家arikoさんがおいしい旅話を伝えてくれるエッセイ本『添乗員ariko まだまだおいしい日本の旅』が刊行されます。おいしいもの目当てで旅先を決めることも多いというarikoさんに出版を記念しておいしい旅話をおすそ分けしていただきます。今回は旅先での「カフェ事情」についてのお話です!
実は使い方いろいろ。旅にカフェは欠かせない
普段は車で移動することが多く、運動不足気味な私でも、旅に出るととにかく歩きます。興味深い旧所名跡や美しい自然を臨む名刹、インテリア雑貨やおみやげを探してショッピングなど、気の向くままに歩いているうちに1万歩! などということも珍しくありません。歩き回っている合間、ちょっと疲れたなと思うと足が向くのはやっぱりカフェ。落ち着いた雰囲気のカフェを見つけて、ほっとひと休みするひとときは旅のいいアクセントになります。
今や日本はカフェ大国と言ってもいいくらい、どの場所に行っても、街並みになじんでいる素敵なカフェがあります。センスあふれるインテリアのカフェももちろん素敵なのですが、地元の常連さんに愛されているようなちょっと昭和な香りのするレトロな喫茶店が私の大好物。
黒光りするドアを開けるとコーヒーの香りが漂い、中には可愛いレースのカーテンと柔らかな灯りがいかにも居心地が良さそう。苦みの効いたカラメルがのったしっかりめのプリンに、濃厚なチーズケーキにクリームソーダ。小腹が空いていたらピザトーストやあんバタートーストを。そんな安心できるラインナップが歩き疲れた身体を優しく癒やしてくれるんですよね。甘いものとおいしい飲み物をいただいて、のんびりとくつろいだ時間を過ごしたら、また気分も新たに旅を続けられるような気がします。思い出に残っているレトロな喫茶店をいくつかご紹介してみましょうか。
レトロな喫茶店が大好物です
先週刊行したばかりの『まだまだ日本のおいしい旅』にも登場する京都は、レトロな喫茶店の宝庫。前回ご紹介した「イノダコーヒ」のように朝から開いているお店も多いので、モーニングをいただくのは京都ならではの楽しみです。おやつの時間に訪れるなら河原町にある「喫茶 ソワレ」のゼリーポンチフロートを。モザイクのように仕立てられたカラフルなゼリーがキラキラと美しく、まさに映える一品。しかも、ソワレ=夜会という店名通り、青を基調にしたどこか幻想的な空間では非日常の時間を味わえます。
人気のお店なので、いつも並ばなくては行けないのだけがちょっと気になるのですが、行列ができていないタイミングに出会えたらラッキーとばかりにお邪魔しています。京都のレトロカフェといえば、「フランソア喫茶室」や「スマート珈琲店」、「喫茶フルール」などもエモい時間が過ごせる素敵なお店。訪れる時間と場所に合わせて、ぜひチェックしてみてください。
文化の香りのする街、松本もレトロなカフェが充実しています。松本民芸家具で統一された「珈琲まるも」、駅の近くにある「喫茶美学アベ」はネルドリップのコーヒーと倒れそうに大きなモカパフェが名物。シュークリーム好きなら誰もが知っている洋菓子店「マサムラ」では、当然、4種類とバリエーションも豊富に揃ったシュークリームが必食です。ミニサイズのベビーシュークリームもあるのでひとつに絞れない! という場合は(私です)、ふたつ注文すれば大満足なおやつの時間になること間違いありません。
香川・高松では、うどんの合間に(?)訪れたいカフェをご紹介します。古いビルをリノベーションしたインテリアの「ひだまりかき氷スタンド」は、香川産のフルーツを使ったソースたっぷりのかき氷と銅板で焼いたフカフカのホットケーキが食べられる、一年を通して楽しいお店です。目の前が公園なので、春先に桜を愛でながらのんびり過ごした時間が忘れられません。
同じく香川のさぬき市、高松から車で40分ほどのところにある「大川オアシス」はまるで昭和にタイムスリップしたかのようなレトロモダンな雰囲気が魅力。穏やかな瀬戸内海を見下ろすミントグリーンのインテリアが見どころです(写真を撮らずにいられません)。オムライスやハンバーグなどの洋食だけでなく、和食の定食などもメニューに並ぶのが面白いのです。
名古屋にある老舗喫茶店「コンパル」では名古屋ならでは! のエビフライサンドが必食。
大ぶりのエビフライとタルタルソースがたっぷりのトーストサンドは、断面萌えの魅力もさることながら、人気っぷりも納得のおいしさ。自分で淹れるアイスコーヒーとともに忘れられない思い出に。名古屋を訪れた際には、どんなことがあっても寄りたい大好きなお店です。
地元の方に愛されているレトロな喫茶店は全国、どの街に行っても見つけることができます。その場所で長く時を刻んできたそのお店ならではの空気感を味わうのは、旅の醍醐味ではないでしょうか。ひと休みだったり朝ごはんきっかけだったとしても、ほっとくつろぎながら、そこで刻まれてきた歴史に想いを馳せることができる、そんなお店に出会えると本当に嬉しくなります。これからも旅先で出会うレトロな喫茶店との一期一会を楽しみたいと思っています。
【 2024年11月29日発売 】
ただいま絶賛発売中!
ariko著 『添乗員ariko まだまだおいしい日本の旅』
128ページ/1400円 講談社刊
「私、食で失敗しないので」というarikoさんによる〈おとなのおいしい旅〉エッセイ
「おいしい情報はこの人に聞いたら間違いない」と信頼度大の人気料理家arikoさんに、大人が行きたい“まだまだ日本のおいしい旅話”を教えてもらいました。一読すれば旅に出たくなること間違いなし。おいしいお店の探し方、喜ばれるおみやげの選び方から、足の疲れの取り方、熟睡のためにしていること、旅先でのミニマム美容など「大人旅のコツ」もご紹介。
【蔦屋書店にて〈まだまだおいしい日本の旅〉ポップアップイベント開催中!】
『添乗員ariko まだまだおいしい日本の旅』刊行を記念して、全国6ヵ所の蔦屋書店で、本の中でご紹介した品々を販売するPOP UPを開催中です!
〇福岡・六本松 蔦屋書店 11月20日〜12月6日まで
〇愛知・名古屋みなと 蔦屋書店 11月25日〜1月14日まで
〇東京・代官山 蔦屋書店 11月29日〜12月13日まで
〇北海道・函館 蔦屋書店 11月29日〜1月13日まで
〇京都・京都 蔦屋書店 11月28日〜1月13日まで
〇千葉・柏の葉 蔦屋書店 12月27日〜2月12日まで
POP UPでは、arikoさんいちおしのトマトジュースや2回めにご紹介した地獄蒸しプリンなどが並びます。香川のマルベリーティーや大分のごまだし、通常は通販のみの「ありこだし」も送料なしでお買い求めいただけます。
*書店によって製品は変わります。
ariko/ありこ
人気ファッション誌を担当するエディター、ライター。インスタグラム(@ariko418/フォロワー数22万人超)でのセンスあふれる料理の写真と食いしん坊の記録が話題を呼び、「おいしい情報なら間違いない」と信頼される存在に。レシピ本を多数刊行している料理家でもある。著書に『arikoの食卓』シリーズ(ワニブックス)、『arikoのごはん』『arikoのおいしいルーティン』(講談社)、『ありこんだて』(光文社)ほか。
文/ariko
第1回「「旅の食事は失敗したくない!」 旅先でおいしいものに出会うコツ【人気料理家arikoさんのおいしい大人旅①】」>>
第2回「旅の目的はおいしいもの。大分・別府の「地獄蒸しプリン」を知っていますか?【人気料理家arikoさんのおいしい大人旅②】」>>
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