天狗倶楽部の熱量がすごい


例えば、SNS で話題になった、生田斗真演じる三島弥彦が参加している富裕層スポーツマンの集まり〈天狗倶楽部〉の面々のバンカラな振る舞い。やたらと裸になることや、「TNG」という略称のマークなど、実際にあったことらしく、事実は小説より奇なりと思わされたし、それを力いっぱい演じる生田斗真に満島真之介、武井壮などの熱量がすごくて圧倒された。
また、嘉納治五郎がオリンピック参加のため、この天狗倶楽部(お金持ちの集まりなので)とつきあって飲めないお酒を飲んで糖尿病が悪化し入院した際、彼に付き従う可児徳(古舘寛治)が早まってトロフィーを作ってしまい、「いくらかかったの?」と驚きながら嬉しい気持ちになる嘉納と、オリンピックに必ず参加できると信じている可児の献身にじーんッとなる。役所広司と古舘寛治の芝居がとてもいい。
この嘉納を、「いまのところおじさんしか出てきませんが、次々出てくるおじさんの中で最も重要な」と若き志ん生が紹介するのも可笑しい。ほんとうに、おじさんと髭ばかり出てきた。生田斗真も満島真之介も髭。竹野内豊(日本選手団監督・大森役)まで髭!
オリンピックに参加する選手を見出すための大運動会に参加しようと息巻く人力車夫の清さん(峯田和伸)が「行くぞ、ストックホルモン」と名前を間違えているところも、彼が小学校しか出ていない設定が生きている。そして、参加資格は中学卒業にもかかわらず、“田せ早(早稲田)”とゼッケンを貼り付けてちゃっかり参加してしまったり、志ん生に弟子入りに来た小松(神木隆之介 昭和のピタッとポロシャツが似合う!)が、「(志ん生の『富久』が)面白かったら弟子にしてください」としれっと筋違いなことを言ったりするのも愛らしい。
三島弥彦が「痛快男子十傑」に選ばれているところも、いまでいうイケメン十傑という感じ。
『あまちゃん』ファンとしては、冒頭、昭和34年(1959年)の場面で、車(タクシー)に乗っている小泉今日子(志ん生の娘美津子役)に胸熱。なぜなら『あまちゃん』1話でも小泉今日子が車(運転手は杉本哲太だった)に乗って街を眺めているから。そして彼女が演じる春子の夫はタクシーの運転手であったから。
……などなど挙げればキリがなく、ものすごく長いレビューになってしまうので泣く泣く割愛する。見た人とは共有できると思うし、もしまだ見てない人がいたら、オンデマンドなどで見て!

まだ第一話だし、これからもっと宮藤ならではの笑いがふんだんに出てくるかもしれない。第二話以降どうなるか気になる。