転勤族の夫がいる人にとって、不慣れな土地に移り住むことは、真剣に離婚を検討するほど辛い場合もあるようです。夫が高圧的で「ついていきたくない」と言えない場合、解決法はやはり離婚しかないのでしょうか? 離婚問題専門の弁護士・原口未緒さんに伺いました。

 

たこわさびさんからの質問

Q. 横暴な夫の転勤先についていきたくない。
離婚を含め、東京に残る方法を教えてください。
 


転勤族の主人と結婚して15年、様々な地方で生活しました。その後、結婚して10年経って念願の子供が産まれ、主人の地元(四国)に異動になり、家も購入しました。私は東京出身で、初めての子育て+知り合いもいない田舎生活でウツになりましたが、その後また転勤で現在は東京にいます。またこの先、転勤で四国に戻ることになるのですが、辛かった日々を思い出し、四国には戻りたくありません。このまま子供と東京にいたく、何とか主人を説得したいのですが、どうしたらよいでしょうか。ちなみに主人は私を部下のように扱い、家事も子育ても全くしません。(44歳)


弁護士 原口未緒さんの回答

A. まずは夫に気持ちを伝えて。
離婚されるぐらいなら、夫も妥協案を出すはずです。


まずはとにかく、夫と話し合いをされるしかないと思います。きちんと「四国に戻りたくない」という本音を伝えられるのが一番良いですが、妻を部下のように扱う夫とおっしゃられていることからも、面と向かって1対1で伝える勇気はなかなか持てないのではないかと思います。その場合は、ご両親や共通の友人などに同席してもらうと良いと思います。第三者がいると、夫も横暴な言動は慎むようになるでしょうから。それも難しいようでしたら、メールや手紙など文章で伝えるようにされてはいかがでしょうか。

 

伝える内容も事前に整理しておくと良いでしょう。四国時代に辛かったこと、大変だったこと、また四国へ戻ると思うとウツになってしまうのではないかと不安である、だから子どもと一緒に東京に残りたい、などと話したうえで、最後に必ず、「四国へ戻るくらいなら離婚したいと思っている」と伝えてください。

支配的なモラハラタイプの夫というのは、外ではいい顔をしたがりますから、おそらく離婚はしたくないはず。それゆえ、「離婚されるぐらいなら」と妥協案を出してくる可能性が高いと思います。もしも「そんなことは絶対許さない!」と聞く耳を持たなかったとしても、夫には着任の期限がありますから、たこわさびさんは「後から行く」などと言って、先に夫だけ転勤させてしまい、そのままズルズル東京に居続ける、という手もあるかと思います。社宅住まいや賃貸物件で、残って住み続けることができないようでしたら、実家に戻るとか、新しくマンションを借りて残る、という方法を取らざるを得ませんが……。

それでも夫が無理矢理たこわさびさんを四国に連れて行こうとするなら、そのときは離婚をするしかないでしょう。昨今はモラハラが離婚理由として認められてきていますから、きちんと財産分与を受けたり、慰謝料ももらえることもありますので、離婚を選択肢の一つとして頭の片隅に置いておいても良いかもしれません。ですが大抵の場合は、話せば意外とあっさり解決することが多いものです。まずは勇気を持って、一度夫に気持ちを伝えられてみてください。

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PROFILE
  • 原口未緒(はらぐちみお)1975年生まれ。弁護士。学習院大学法学部卒業。2004年に弁護士登録。民事、商事、家事、刑事、倒産処理、債務整理など様々な案件を担当した後、2010年に「未緒法律事務所」を開所。夫婦、離婚案件を主に扱っている。法的な解決策を提案するだけでなく、コーチング、カウンセリング、セラピー手法を取り入れ、「心のケアもする弁護士」として人気がある。著書に『「この結婚もうムリ」と思ったら読む本 こじらせない離婚』(ダイヤモンド社)がある。自身は3度の離婚を経て、現在4度目の結婚をし、第一子をもうける。 この人の回答一覧を見る
  • 山本奈緒子(やまもとなおこ)1972年生まれ。6年間の会社員生活を経て、フリーライターに。『with』や『VOCE』といった女性誌の他、週刊誌や新聞、WEBマガジンで、インタビュー、女性の生き方、また様々な流行事象分析など、主に“読み物”と言われる分野の記事を手掛ける。 この人の回答一覧を見る
 取材・文/山本奈緒子

 

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