それから、亡くなった方たちが今この瞬間何をしているのか、そこに思いを馳せてみてはいかがでしょう。もちろんご主人やお父さまがどこにいるのか分からない、といった思いでもかまいません。私は“今の夫”を感じると涙がにじんでくるのですが、それは温かい涙なのです。今この瞬間、夫が私に思いを知らせてくれていると分かるからです。人の言葉にこれが正解だと無理をして合わせる必要も、スピリチュアルだとか思う必要もない、そらのそらさんが感じるままを大事にしてほしいのです。
そらのそらさんが感じている罪悪感に関しても、今この瞬間、亡くなった方たちはそらのそらさんのことをどう思っているか、そこに思いを馳せてみれば、楽しんではいけないなんてことはないと、気づけるのではないかと思います。
余談ですが、この“亡くなった人の今の気持ちを思う”という作業をおこなうとき、亡くなった方との関係性が浮き上がってきます。だからこそ修復不可能なほど関係性が悪くなっていると感じているならば、そのような夫婦は別れたほうが良いと私は考えているのですが……。
ただ一点、生きていることに疲れた、と書かれていたことは気になります。これは鬱傾向にあるからかもしれません。もし眠れない、食べられないといった身体不調も現れているようでしたら、医療機関に頼ることをお勧めいたします。私は、今もですが、医療機関にはとても救われました。そして、それ以上悪化させないテクニックも身につけました。よく「無理をしないことが大事」という言葉を耳にしますが、これは本当なのです。そらのそらさんには、体の管理はしっかりしつつ、自分の力が戻ってくるのをゆっくり待っていただけたらと思います。
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- 金子稚子(かねこわかこ)1967年生まれ。終活ジャーナリスト。終活ナビゲーター。一般社団法人日本医療コーディネーター協会顧問。雑誌、書籍の編集者、広告制作ディレクターの経験を生かし、死の前後に関わるあらゆる情報提供やサポートをおこなう「ライフ・ターミナル・ネットワーク」という活動を創設、代表を務めている。また、医療関係や宗教関係、葬儀関係、生命保険などの各種団体・企業や一般向けにも研修や講演活動もおこなっている。2012年に他界した流通ジャーナリストの金子哲雄氏の妻であり、著書に『金子哲雄の妻の生き方~夫を看取った500日』(小学館文庫)、『死後のプロデュース』(PHP新書)、『アクティブ・エンディング 大人の「終活」新作法』(河出書房新社)など。編集・執筆協力に『大人のおしゃれ手帖特別編集 親の看取り』(宝島社)がある。 この人の回答一覧を見る
- 山本 奈緒子1972年生まれ。6年間の会社員生活を経て、フリーライターに。『FRaU』や『VOCE』といった女性誌の他、週刊誌や新聞、WEBマガジンで、インタビュー、女性の生き方、また様々な流行事象分析など、主に“読み物”と言われる分野の記事を手掛ける。 この人の回答一覧を見る
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