2020年から、小学校で必修化されるプログラミング教育。
新年度をひかえ、ニュースなどでさかんに取り上げられていますが、具体的には何をするのかご存じでしょうか? ここでは、プログラミング教育の疑問にこたえる記事を、3回連載でお送りします。

 


1回目▼プログラミング教育って? 小学校必修化の本当の目的とは
2回目▼幼児からプログラミング教育は必要? おすすめ教材と大切なのは「対話」
3回目▼プログラミング教育でどうなる? これからの社会

 

1回目では、プログラミング的思考の基礎と、アルゴリズムについて解説しました。2回目は、幼児からのプログラミング教育について、1回目に引き続き、幼小一貫教育の「講談社こども教室」で教材開発と講師をつとめる廣野清美先生にお話をうかがいします。


幼児のためのプログラミング教育って?


ピアノ、おえかき、英語に水泳……幼児期からはじめる「おけいこ」は、いまやあたりまえ。最近は、「プログラミング教育必修化」の流れをうけて、幼児向けのプログラミング教室も人気です。でも、幼児期からプログラミングに親しむって、いったいどういう事なんでしょう?

小さいうちからタブレットやPCに囲まれて、デジタル漬けの生活をするのは、とっても不安です……

(廣野先生)子どもは発達・年齢によって理解できることが違います。そして、「プログラミング的思考」にはコミュニケーション能力(伝える力や読解力)が重要です。幼少期から単にデジタル機器を操作させて「やったつもり」になっていては、意味がありません。

つまり、単にデジタル機器に親しむだけではなく、「思考力」を身に着けるのが大切なんですね。
問題を見つけ、解決する手順を考えるには「言葉」による対話が重要だと、廣野先生は指摘しています。「言葉」は自分で考え、相手につたえるための道具。そして、言葉の奥にあるものを受け取るためには、想像力・思考力が必要です。
このような能力は、図鑑や絵本などの「本」に親しむこと、そして、日常生活で人と人とのやりとり(コミュニケーション)をする中で身につきます。また、「実際に見る、触れる、身体を動かす」などの「身体感覚」も思考能力の発達には重要です。
 

身体感覚をつかってプログラミング教育を学ぶって、いったい何をすればいいのですか?

(廣野先生)色玉や積み木など、幼児に身近な道具を使って、プログラミング的思考の基礎を学ぶことができますよ。色玉で「繰り返し思考」を、色積み木で「順次思考」を、また「にんげんキュベット」という遊びでは、ものの動かし方の手順を、体感しながら学べます。「にんげんキュベット」は、自分自身がロボットになりきって、決めれらた命令にしたがってマス目を進むというプログラミング的思考遊びです。
このように、手や体を使った遊びで「モノ」の動きを体感することで、デジタル画面で「モノ」を動かすこともスムーズに理解できるのです。

 
(国立情報学研究所2019オープンハウスより)

廣野先生が教材開発と講師をつとめる幼児教室でも、実際に色積み木や色玉などをつかって、「プログラミング的思考」を教えています。

幼児期から、自身の手で積み木をずらす(平行移動)、ひっくり返す(対称移動)、回す(回転移動)などの感覚をつかむ事で、頭の中でも形が自由に想像できるようになります。
また、実際に1秒に1歩ずつ歩いてみると「60秒で60歩進む」という、速度のイメージもつかめます。このような「体感」を積み重ねる事で、「10歳の壁」などといわれる「抽象的思考力」を求められる学習でも躓きにくくなるのです。

(廣野先生)そのほかにも、実際に手をうごかして遊びながら「プログラミング的思考」を学べる知育玩具もあるんですよ。

 

キュベット
インターネット環境やパソコン不要、木製でやさしい手ざわりの知育玩具。対象年齢3歳~。想像がふくらむワールドマップとストーリーブックを使って読み聞かせをしながら、考える力をつけたり、コミュニケーションをとったり、家族で楽しく遊べる。ブロックやボードは幼児でも簡単に操作できるようデザインされていて、付属のブロックを使ったコーディングの組み合わせは、数十億通り以上。


プリモトイズ公式ウェブサイト>>

知育玩具以外にも、絵本やウェブサイトで幼児向けの「プログラミング教育」を学ぶことができます。
 

 

はじめてのプログラミングえほん
こちらは、1回目の記事でもご紹介した、大人と一緒に読んで学ぶ、幼児から楽しめるプログラミング絵本。この絵本で必要なのは、STEP (1コマ進む)、TURN RIGHT(右を向く)、TURN LEFT(左を向く)の3つのコマンドボタンと、GO(コマンドを実行する)のボタンをおすことだけ。ボタンの矢印マークで、どのボタンが、どの動きにつながるのか、わかるようになっています。GOボタンを押すと、「ステップ」「ターンライト」などの声がしたあと、クイズ番組のように「ピンポーン」や「ブブーッ」という音で、正解かどうかをしらせてくれます。幼児向けのえほんですが、音声はあえて英語で収録されています。えほんで繰り返し遊ぶうちに、ボタンと英語の組み合わせを自然に理解でき、楽しみながら、プログラミングを学べます。
 

プログラミング学習教材CodeMonkey(コードモンキー)シリーズ
コードの冒険(CodeMonkey コードモンキー)

小学3年生〜
プログラミングを学習するために分厚いテキストと格闘する必要はもうありません。CodeMonkeyなら、愉快なキャラクターたちと一緒になって、ゲーム感覚で楽しくプログラミングの基本的な考え方を身につけることができます。
CodeMonkeyのルールはとっても簡単です。モンタに命令を送り、無事にモンタがバナナをゲットできればミッションクリアです。しかしまっすぐ歩けばバナナにたどり着けるとは限りません。茂みに道を阻まれることもあれば、野良ネコに追いかけられることもあります。バナナがいつも同じ場所で待っていてくれるとは限りません。いたずらネズミがバナナを持って逃げてしまうかもしれません。
CoffeeScriptという言語を使いますが、自然な英語を書くのに似ていて、プログラミングを意識する必要はありません。やさしいチュートリアルに従っていくと、初心者でもわかりやすく自然に、プログラミングの基本的な考えである、変数、配列、ループ、関数、IF ELSE、論理演算から、マウス・キーボード処理などが身につきます。

CodeMonkeyには「コードの冒険」以外にも、次のコースが用意されています。
・コードモンキーJr.   
幼児からのビジュアルプログラミング
・ビーバー・アチーバー  
直感的に理解しやすいブロックコーディング
・ドードの算数      
分度器と定規で算数を学ぼう
・チャレンジビルダー   
あなたのオリジナルの「コードの冒険」を作ろう
・バナナ・テイルズ    
ゲームでプログラミング言語 Pythonを学ぼう
・コード・チャットボット 
Pythonで「チャットボット」をつくる本格体験

参照Webページ
https://codemonkey.jp
https://codemonkey.jp/cm_news/
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000055.000010261.html


このように、幼児期から学べる「プログラミング教育」は、玩具、絵本、ウェブサイトに幼児教室など、さまざまな選択肢があります。しかし、廣野先生は、「どんな道具で学ぶにしても「対話」が大切です」と強調しています。
 

 


(廣野先生)子どもには、考えるための充分な時間をあたえ、自ら発見できるよう促すために、大人が見守り、声をかけてあげることが大切です。

どんな道具も与えっぱなしにせず、親や家族・先生など、大人が一緒に対話し、子どもと共に学んでいくことが重要です。また、親子で一緒に楽しむことで、より深い学びが得られるのだとか
プログラミング的思考は、プレゼン力やコミュニケーション力にも深くかかわり、どんな進路、どんな職業においても普遍的に求められる力でもあります。

プログラミング的思考を学ぶ事で、今まで当たり前と思っていたことも「プログラミング」の視点で理解でき、世の中の見え方が変わってくるでしょう。また、相手に物事を伝える時も、「順次」「くり返し」「分岐」の思考を取り入れることで、より伝わりやすくなります。
この、「プログラミング教育必修化」という絶好の機会に、「子どもだけのこと」と知らずにいるのはもったいない! ぜひ、大人も一緒に「プログラミング的思考」を学んでみてはいかがでしょう?


試し読みをぜひチェック!
▼横にスワイプしてください▼

 

はじめてのプログラミングえほん

★対象年齢/親子で3歳以上

NII 国立情報学研究所 三浦謙一名誉教授
青山学院大学社会情報学部 松澤芳昭准教授 
推薦!
STEP、TURN RIGHT、TURN LEFTの3つのコマンドだけで、プログラミングを楽しく学べる絵本が登場! 「ミライカー」をプログラミングして、スタートからゴールへうまく導けるかな? コマンドを打ち込む付属の電子ユニットからは、いろいろな音声が鳴ります。プログラミング的思考に親しんでいく、きっかけにぴったりです。

【ネットでも公開中!プログラミング問題】
えほんにのっているプログラミングがおわったら、
さらに10問のプログラミングにチャレンジできます。
講談社こども倶楽部サイトで公開中!

 

\関連イベント/
国立情報学研究所オープンハウス2020
NII Computer Science Park

2020年6月13日(土)開催予定 (参加には事前申し込みが必要です)

場所:国立情報学研究所(学術総合センター)
(東京都千代田区一ツ橋2-1-2)

お問い合わせ
国立情報学研究所オープンハウス事務局
メール:oh@nii.ac.jp
https://www.nii.ac.jp/openhouse/(4月中旬公開予定)

*新型コロナウイルス感染拡大のため開催を見送る場合がございます

廣野清美(ひろの・きよみ)
静岡大学教育学部を卒業。小学校教師を務めたのち、講談社パルへ入社。小学生用教材を企画開発出版。子供だけでなく、保護者、講師等の指導にも当たる。JAXA宇宙教育リーダー資格取得。『はじめてのプログラミングえほん』の監修をつとめるほか、パソコンなどの電子機器等を使わない「アンプラグドプログラミング」の講座を、NHK文化センターで開催。そのほか、国立情報学研究所でコンピューターサイエンスパークや、こども霞ヶ関見学デー(文科省)にて講座を実施。私生活では2女の母。長女は慶応義塾大学卒、次女は東京大学卒。

構成/北澤智子

 

第1回「プログラミング教育って?いよいよ必修化! 」はこちら>>