「お金のプロの方は、お金についてどんなふうに考えているの?どうつきあっているの?」というミモレ編集部の疑問から生まれたインタビュー企画。マネー業界のトップの方々に「お金の価値観」についてじっくり伺っていきます。今回ご登場いただくのは、マネックス証券社長の清明祐子さん。女性だからこそ話しやすいお金の話、マネーコラムニストの西山美紀と編集部員の片岡がじっくり伺いました。

<今回お話を伺ったのは……>

 

清明祐子さん
2001年に大学卒業後、新卒で三和銀行(現三菱UFJ銀行)に入行。2006年からMKSパートナーズ(プライベート・エクイティ・ファンド)の参画を経て、2009年2月にマネックス・ハンブレクト(2017年にマネックス証券と統合)に入社し、2011年に同社社長に就任。2019年4月よりマネックス証券代表取締役社長(現任)、2020年1月マネックスグループ代表執行役COO(現任)。

 

――金融業界で長く勤められ、ネット証券の社長でいらっしゃると、ご友人にお金について相談されることはありますか?

清明祐子さん(以下敬称略):それが、めったにないんです。私は「いつでも聞いて!」と思っているんですけどね(笑)。
ただ、少し前に「資産形成が全然できていない。銀行で貯金しているくらいで、どの株を買ったらいい?」と聞かれたことはありました。

個別で株を買う場合は、自分で興味を持ってしっかり調べることが大事だということと、自分で選べない場合は、「長期・分散・積み立て」という3つのポイントを押さえて、投資信託などを積み立てで買っていくこと。そしてNISAやiDeCoなどの税制メリットがある仕組みを使うことをおすすめしました。

――「この会社の株がおすすめ!」とは、なかなか言えないですものね。その場合、投資先を幅広く分散できる投資信託の方が始めやすいと…。

清明:そうなんですよね。例えば、アメリカの株は伸びていますが、「アメリカの株を買いましょう」といきなりいわれても、ハードルが高いですよね。
よくわからなくて立ち止まってしまうともったいないので、最初の一歩を踏み出しやすい方法をお伝えしたいと思っています。
投資信託なら、小さな金額でも買いやすいですし、投資先が分散されている分、リスクが分散されていて、始めやすいかと思います。「成功体験」になりますよね。

――最初に「成功体験」があるかどうかは、大事ですね。

清明:はい、お金の使い方が上手だなぁと思う人がいますが、そういう方というのは「お金を使っても、その分収入が増えてきた」という成功体験があるからかもしれませんね。

投資はできれば長い目で考えて、少しずつ積み立てていき、忘れたころに見てみると「あ、増えている」と感じることが、投資へのモチベーションにつながったらいいなと思っています。私自身もそうでした。

 

――清明さんご自身も!

清明:マネックスに入るまでは、ちゃんとした投資をしていなかったんです。20代後半から預貯金もできるようになったけれど、預貯金だけではなかなか増えなくて。入社してから、マネックス証券が提供するセミナーなどで勉強したり、会社の周りの人に聞いたりして、投資信託の積み立てから投資をスタートしました。
私の場合、職業柄、個別の株取引は控えている(※金融関係勤務の場合、一部の投資の禁止や届け出制が多い)のですが、投資信託は小さな金額で始められる点もいいですね。

今回のコロナショックで大きく下がった場面でも、焦って売却したりすることはなく、むしろいずれは上がると考えて、少し買い増ししました。
ですが基本は放置です。それくらい資金には余裕を持って投資することが大切ですね。

 
  • 1
  • 2