コロナ禍の自粛生活で電車に乗ることもなくなり、食事は毎食自炊、買い物は食料品と日用品のみで、行動範囲は自宅半径で数km以内。そんな風に世間が一時停止しても、生活インフラを守るために働き続けていたのが、エッセンシャルワーカーの人々です。そこには当然、ゴミ清掃員も含まれます。

お笑い芸人でゴミ清掃員でもある滝沢秀一さんと、妻の滝沢友紀さんによる漫画『ゴミ清掃員の日常 ミライ編』では、そんなコロナ禍のゴミ収集の現場がどんなものであったかを教えてくれます。同時に、生活を一方的に守ってもらうだけでなく、ゴミ収集に従事する人々を「守る」ためのヒントを得ることもできます。サブタイトルにもある“あたらしい時代で、しあわせになるゴミ出し術”の実践は、私たちが今できる感謝の形でもあるはず。いつもピカピカのゴミ集積所に思わず礼をしたくなる本書から、特別に一部抜粋してご紹介します。

主人公であるお笑い芸人の滝沢秀一さんは43歳。芸人として22年間頑張るも芽が出ず、妻と2人の子どもの暮らしを支えるために、ゴミ清掃員としても働いています。

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そんな中、新型コロナウイルスの影響で緊急事態宣言が発令されると、ゴミ集積所の様子も一変。自粛生活によって家庭ゴミが急増、さらにおうち時間の増加で断捨離を敢行したと思われる大量のゴミが集積所を埋め尽くします。

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人のいない閑散とした町と、普段なら考えられないような大量のゴミ。そこにはまさしく、非日常の光景がありました。

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ゴミ収集車がゴミを巻き込む際には、ゴミ袋が破れてしまうことも。そうなると、清掃員が手作業でゴミを拾い集めなければなりません。もし、この中にウイルスが潜んでいたら……。日々のゴミ収集業務は、まさに感染のリスクと隣り合わせでした。

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「生きることと死ぬことの狭間で働いているような気がした」という滝沢さん。コロナ禍の自粛生活を普段と変わりなく支えてくれたのは、大切な家族を想いながらも働く、滝沢さんのような人々です。

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そんなゴミ清掃員を気遣い、ある時には感謝のメッセージが添えられることも。コロナ以前にはなかった住民との心の交流に、滝沢さんも思わず日々の苦労を忘れます。

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日々の暮らしを支えてくれるゴミ清掃員の方たちのために、今私たちができることはなんでしょうか。コロナ禍における具体的なゴミ出し方法を、滝沢さんは漫画の中で教えてくれます。まとめると、ポイントは以下の4つ。

① ゴミ出しの時はゴミ袋の口をしっかりと結ぶ
② ゴミ袋の容量に余裕がある状態でゴミ出しをする
③ 袋の強度が弱いものは二重にする
④ コロナ感染により自宅療養の人、濃厚接触で自宅待機の人は、「特別措置」として飲み終わったペットボトルは資源でなく可燃ゴミに出す(完治したら資源にする)

 

大きなアクションを起こさなくても、誰かを守るための小さな工夫は今からできる。そんなことを本書では教えてくれます。コロナ対策のゴミ出しをはじめ、食品の廃棄や資源の分別、清掃員として働く人々の知られざる物語まで。ゴミ清掃員という仕事を知れば、きっと今まで見えなかった何かが見えるかもしれません。

ちなみに、滝沢さんが「自分で自分を格好いいと思うベスト3」堂々の1位は……。

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「街がきれいになったとき」。住民に当たり前の日常を届ける滝沢さん、そしてゴミ清掃員の皆さんは、間違いなく格好いいと思います!
 

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『ゴミ清掃員の日常 ミライ編 あたらしい時代で、しあわせになるゴミ出し術

原作・構成:滝沢秀一 まんが:滝沢友紀 講談社 1000円(税別)

売れないお笑い芸人とゴミ清掃員、二足のわらじを履く主人公。ゴミ収集の舞台裏や人間模様、そしてコロナ禍のゴミ収集事情も描く。前作『ゴミ清掃員の日常』待望の続編!

構成/金澤英恵