原爆から奇跡的に焼け残った「被爆ピアノ」と、被爆2世の調律師・矢川光則さんの実話をもとに、佐野史郎さんと「AKB48」の武藤十夢さんのダブル主演で描くオリジナル映画『おかあさんの被爆ピアノ』。

この記事では、8月8日から全国で順次公開される映画と、監督みずから書き下ろした小説についてご紹介します。
※広島のみ7月17日より先行公開

昭和20年8月6日、広島に原爆が投下されました。
そして、爆心地から3キロ以内で被爆したピアノは「被爆ピアノ」と呼ばれています。
主人公の一人、被爆2世の矢川光則は、持ち主から託されたピアノを修理・調律し、自ら運転するトラックに載せて全国を廻り、被爆ピアノコンサートを行っている現役の調律師。
一方、もう一人の主人公である東京生まれの大学生・江口菜々子は、母・久美子が被爆ピアノを寄贈していたことを知り、被爆ピアノコンサートを訪れ、矢川と知り合います。
矢川を通して、被爆ピアノや広島のことを考えるようになった菜々子は、母、祖母へとつながる自らのルーツをたどる旅をはじめますが──。

 

主人公・矢川を佐野史郎さん、菜々子を「AKB48」の武藤十夢さんが演じる本作は、「レミングスの夏」の五藤利弘監督が、2009年にドキュメンタリー番組の取材で矢川さんと知り合ったことから企画が生まれ、約10年をかけて完成させました。

ドキュメンタリーでは拾いきれない部分を、劇映画を通して伝えたいという思いから製作に着手した五藤監督ですが、そこにはたくさんの人々の協力があったのだそう。
俳優の大杉漣さんもその一人です。ドキュメンタリーを見た大杉さんは、映画制作を後押しし、主演を務める約束もしていました。しかし、2018年に大杉漣さんが亡くなってしまいます。そのため、生前から大杉さんと深い親交のあった佐野史郎さんが、大杉さんの遺志を継いで主演を務めることになったのです。
また撮影の前には、中国地方で大雨による水害が起き、広島県内も被災。映画完成までには、長く困難な道のりが待ち受けていたのでした。

映画完成までの知られざるエピソードを、五藤利弘監督が振り返る記事はこちら>>

原爆投下から75年という、大きな節目を迎える今年。
原爆から奇跡的に焼け残った「被爆ピアノ」のドラマを、ぜひ劇場でご覧になってください。

配給:渋谷プロダクション  公開:2020年8月8日(土)©︎ 映画「被爆ピアノ」製作委員会

「全国共通特別鑑賞券 1200 円」のお問い合わせはこちら
映画「被爆ピアノ」製作委員会 メールアドレスeigahibakupiano@yahoo.co.jp

公式Twitterはこちら>>

五藤監督による小説版
映画公開とともに、五藤監督みずから執筆したノベライズ小説も出版されます。小説では映画で描き切れなかったディテールも織り込まれているのだそう。併せて読むことで、より被爆ピアノへの想いが深まる1冊です。


試し読みをぜひチェック!
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『おかあさんの被爆ピアノ』

五藤利弘:著

2020年夏公開映画「おかあさんの被爆ピアノ」(主演 佐野史郎・武藤十夢)の、監督によるノベライズ小説。
広島への原爆投下により被爆した「被爆ピアノ」。被爆2世の調律師・矢川光則は、持ち主から託されたピアノを、修理・調律し、自ら運転するトラックに載せて全国を廻り、被爆ピアノコンサートを行っていた。一方、東京生まれの大学生・江口菜々子は、母・久美子が被爆ピアノを寄贈していたことを知り、被爆ピアノコンサートを訪れ、矢川と知り合う。矢川を通して、被爆ピアノや広島のことを考えるようになった菜々子は、母、祖母へとつながる自らのルーツをたどる旅をはじめる──。

「被曝ピアノ」についてさらに知る

『海をわたる被爆ピアノ』

矢川光則:著

被爆ピアノ、ニューヨークへ!
矢川光則さんは、被爆2世として生まれながらも、原爆や平和についてまったく意識せずに育ちました。しかし、ピアノ調律師となり、ピアノの調律・修理・寄贈という活動をしていくなかで、偶然、「被爆ピアノ」に出会います。「被爆ピアノ」との出会いによって、彼がどのように平和への意識に目覚めていったのか、その足どりをたどります。
※小学上級から

構成/北澤智子