医療機関を受診するとき、診断というものは「〇〇という病気です」「〇〇なので〇〇の治療をしていきましょう」といった具合にされると思っています。ところがグレーゾーンの人の場合は「傾向があります」という診断。これまで聞いたことがありません。あるいは「発達障害ではなさそうです」という診断。ではなんなのか疑問が残ります。
こうした診断をどのように理解すればいいのか、自分の気持ちや思考をどのように整理すればいいのか、迷ってしまいます。
多くの場合、医師からはそれ以上の診断や説明はありません。結局、原因はわからず、対策も立てられず、途方にくれるだけです。ただ、なかにはすぐに受け入れることができる人もいます。
診断名より対処法を考えよう
発達の凸凹があると、できることとできないことの差が大きいのですが、できないことばかり注目して、自己評価を下げています。すると、きっと失敗するだろう、叱責されるだろうと不安感が強くなり、萎縮は失敗を招き、さらに自己評価を下げるといった悪循環になってしまいます。
できることに注目しましょう。100点でなくていいのです。
そもそも社会は100点を求めていません。そう思っているのは本人だけで、おそらく社会は「人並み」を求めているのです。点数で言えば60点ぐらいでしょう。
グレーゾーンの人は能力が凸凹なので、130点とれるところもあります。たとえ30点のところがあっても、130点と平均すれば80点。けっして低い数字ではありません。
これは社会の問題でもあります。昔から発達の偏りがある人はいましたが、今ほどクローズアップされていませんでした。社会が寛容だったので、適応できていたのです。つまり、社会にもっと寛容さが必要なのでしょう。
『大人の発達障害 グレーゾーンの人たち』
監修:林 寧哲、OMgray事務局 講談社 1540円(税込)
ある程度社会には適応しているのに、なぜか生きづらい……。精神科医・林寧哲先生と、発達障害グレーゾーン当事者の会「OMgray事務局」が、発達障害の“傾向”をもつ「グレーゾーン」の人特有のつらさ、自分との向き合い方を教えてくれます。
構成/金澤英恵
この記事は2020年9月20日に配信した人気記事の再掲載です。
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