扇風機が壊れればリサイクルショップで買い替え、139円のカレーせんと半額で54円になったシュークリームを両方購入するかどうか本気で逡巡し(合計193円)、洋服はしまむらで1900円のものを選ぶ。
吉本さんは日々、こづかい日までの残額とにらめっこしながら、ベストのチョイスをひねり出そうと涙ぐましい努力を重ねています。
業務スーパーで1本38円の緑茶を貯め買いし、コンビニで貯めたポイントで交換できるキャラグッズを子どもへのお土産にするなど、吉本さんのご近所さんもさまざまな知恵と工夫でおこづかいライフを乗り切っていました。
なかでも「サラリーマンならではの知恵!」と膝を打ったのが、おこづかい2万円のサラリーマン・工藤静男(35)による「出張のポイント食い」。彼は会社から支給された「ポンタ」が貯められるクレジットカードで経費の立て替えをし、そこで貯まったポイントを使い、出張中に晩酌をするという奥義を披露していました。
視聴覚障害者から見える世界を描いた『淋しいのはアンタだけじゃない』や、東日本大震災で大打撃を受けた三陸鉄道の鉄道マンたちに肉薄した『さんてつ』など、丁寧な取材で懸命に生きる人々の姿を綴ってきた吉本さんだけに、単なるこづかい話にとどまることなく、現代の働き世代がいかに努力して日々を楽しく過ごそうとしているかがありありと伝わってきました。
こんなにも切り詰めている現状に逆らうことなく、誰かを恨みもせず、むしろさまざまな工夫で今を楽しもうと、こづかいの少なさを娯楽にまで昇華させている……。
そんな登場人物たちのけなげな姿に涙が出そうになりました。
願わくば、これほどまでに一生懸命生きている人たちがもう少しだけでも楽に生きられるよう、政治家の方にも本作をぜひ読んでいただきたいなと思いました……!
『定額制夫のこづかい万歳 ~月額2万千円の金欠ライフ~』
著者:吉本浩二 講談社 704円
埼玉県郊外に暮らす漫画家、吉本浩二。2人の子どもの父親でもある彼のおこづかいは月「2万千円」。限られた金額の中でいかにして毎日を楽しむか……。赤裸々なおこづかいライフが明かされます!
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