【リベンジポルノ】恥ずかしい写真をばらまかれる恐怖

 

「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」とは、一般的に「リベンジポルノ防止法」と呼ばれている法律です。この法律が禁止しているのは、「私事性的画像記録」「私事性的画像記録物」を「提供する等」の行為です。「私事性的画像記録」とは、性的な画像が撮影されたデータで、「私事性的画像記録物」とは、性的な画像が撮影された写真などのことです。「私事」なので、販売されているアダルトビデオなどのように、多くの人に見せる前提で撮影に同意しているものは対象外です。

 

「提供する等」とは、映っているのがどこの誰か、見た人がわかる方法で、その動画や画像を公開したり、人に提供したりすることです。最大で3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。

この法律は公開の手段を限定していません。相手の「私事性的画像記録」を拡散させるつもりで知人に提供する行為も処罰対象です。また、名誉を貶めるという点で名誉毀損罪、「写真をばらまくぞ」と脅す行為は脅迫罪など、ほかの犯罪も成立する可能性もあります。
 

●「リベンジポルノ」からあなたを守る法律は?
リベンジポルノ防止法 第1条 目的

この法律は、私事性的画像記録の提供等により私生活の平穏を侵害する行為を処罰するとともに、私事性的画像記録に係る情報の流通によって名誉、または私生活の平穏の侵害があった場合におけるプロバイダ責任制限法の特例および当該提供等による被害者に対する支援体制の整備等について定めることにより、個人の名誉および私生活の平穏の侵害による被害の発生、またはその拡大を防止することを目的とする

●手続きは?
被害を最小限にとどめるには、早急な対応が重要です。被害に気づいたら、一刻も早く警察に相談に行きましょう。まずやるべきことは、その投稿を削除させることです。リベンジポルノ防止法により、発信者に削除の問い合わせをしてから2日たっても「削除に同意しない」という回答がない場合は、プロバイダが削除できるようになりました。しかし公開されているのが海外のサーバーであったりすることもあり、100%完璧に削除するのは難しいのが現実です。

なお、刑事責任や民事責任を追及するためには、投稿自体をスクリーンショットなどで保存するのがよいです。立件が難しいケースでも、警察がサーバー管理者などに警告をしてくれる場合がありますので、諦めずに相談しましょう。

***

自分の子どもから性被害を打ち明けられたら……


絶対に怒らないことが重要です。子どもは勇気を出して親に打ち明けています。「そんな短いスカートをはいているから」など、子どもに落ち度があるような言い方はやめましょう。
まずは、「よく話してくれたね」とねぎらい、「あなたはなにも悪くないのだから、安心してね」と言ってあげてください。そして、なにに困っているのか、体調などを尋ね、早めに一緒に警察や支援センターに相談に行きましょう。

性被害の加害者が、自身のパートナーや知人友人であるなど、場合によっては親が動揺する場合もあります。その場合でも、「〇〇さんがそんなことをするはずない」などと、子どもが嘘をついていると決めつけるようなことは絶対に言わず、子どもの言い分に耳を傾けてください。


※掲載されている法律は、以下の内容に基づきます。
民法:2020年4月施行の改正民法の内容 そのほかの法令:2020年3月現在の内容

 

著者プロフィール
上谷さくらさん
:弁護士(第一東京弁護士会所属)。犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務次長。第一東京弁護士会犯罪被害者に関する委員会委員。元・青山学院大学法科大学院実務家教員。福岡県出身。青山学院大学法学部卒。毎日新聞記者を経て、2007年弁護士登録。保護司。

岸本学さん:弁護士(第一東京弁護士会所属)。第一東京弁護士会犯罪被害者に関する委員会委員。人権擁護委員会第5特別部会(両性の平等)委員。大阪大学法学部卒。民間企業のコンプライアンス統括部門を経て、2008年横浜国立大学法科大学院を卒業。同年司法試験合格。金融庁証券調査官を経て、2010年弁護士登録。

 

『おとめ六法』
著者:上谷さくら 岸本学
KADOKAWA 1400円(税別)

憲法・刑法・民法といった六法の中から、女性の一生に寄り添う法律をピックアップした本書は、女性の身の周りに潜むトラブルをどこに相談すればいいか、どうしたら自分の権利を守れるのかをCahoさんの愛らしいイラストと共に具体的に教えてくれます。女の子をもつ親、そして男性にもおすすめしたい一冊!


構成/金澤英恵

第1回「DV、不倫、どこに相談したらいい? その答えはすべて「法律」の中にあった」>>