こんにちは。フードジャーナリストの中田ぷうです。今年は新型コロナウイルスの影響で窮屈な日々が続いていますが、おうち時間のちょっとしたエッセンスになるような、そしてときには自分へのご褒美になるような“家に持ち帰って楽しめる食”を紹介していきます。今回は年末年始、ハレの日の食卓やギフトとしても喜ばれる“￥1000台の泡リスト”。メディアにあまり出ていないながらも、ワインのプロや料理家たちにも「これはおいしい！」と言わしめた5本をご紹介します。
おいしいワインを買う、中田流マル秘テク
まず泡を含め、ワインを買うときのマル秘テクニックをお教えします。理想はソムリエが常駐しているワイン専門店やデパートのワイン売り場に行って買うことなのかもしれませんが、いつも専門店やデパートに行けるとは限りません。そんなときおすすめなのが“スーパーマーケット”。中でも「いなげや」「サミット」、そして子会社に輸入会社（インポーター）と国内最高レベルの定温定湿庫でワインを保管する「成城石井」はダントツにおすすめです。実はこの3社は、ワインのプロたちが“家での普段飲み”しやすいワインをセレクトしているんです。だから￥1000台でいい味のワインが必ず見つかる！ バイヤーがかなりの“目利き”なんだと思います。意外と知らない方が多いので、ぜひこの３つのスーパーはメモっておいてください。
そしてもう１つ。私は必ずワインを買う際、ワインの裏のラベルに書いてある“輸入元（インポーター）”をチェックします。何本ものワインを飲み続けてきて、この輸入元が輸入するワインなら間違いない！というのがあるんですね。その代表的な３つが「稲葉」「ドウシシャ」「東京ヨーロッパ貿易」です。こちらもぜひメモをどうぞ。
何度買ったかわからない。世界的な評価も高い1本
実はこの泡は10年以上前から愛飲。ワイン専門店のソムリエから「これ以上にコスパのいい泡はありません！」と言われ、購入したことがきっかけでした。
スペイン・バルセロナ地方にある100％家族経営のワイナリーが作る1本で、味に深みを、そして香りを華やかにするため、シャルドネなどさまざまな品種のブドウが用いられています。国際的なワインコンクールでも何度にも渡ってゴールドメダルを受賞しており、ソムリエが“激推し”したのも仕方がないことかもしれません（笑）。建築家アントニオ・ガウディのモダニズムが描かれた印象に残るエチケット（ラベル）も覚えやすくていいですよね。
シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵で作られており、きめ細かな泡で軽やかながらも余韻の長い泡です。サーモンや白身魚のマリネ、蒸し鶏のサラダなどとも合いますが、サンドイッチやピザ、パスタなどとも合わせやすいのが特徴。それが良くて、よくランチに招待されたときは“ポール・シェノー”を差し入れに持って行っていました。
72カ月熟成でこの値段は奇跡。エレガントな美しき味わい
こちら先に書いた「東京ヨーロッパ貿易」が輸入している1本。「東京ヨーロッパ貿易」は実はスーパーマーケット「成城石井」の子会社の貿易会社。「成城石井」というと高級スーパーマーケット＝高いワインしか扱っていないのでは？と思い込んでいる人も多いかもしれませんが、「成城石井」のバイヤーが現地で味・品質・価格のバランスが良く、日本の食事に合わせやすいワインを買い付け、子会社である「東京ヨーロッパ貿易」を介して自社輸入しているから、手軽なお値段でいいものを提供できるシステムに。だからこうした“隠れ名品”が見つかることが多いんです。
この泡を見つけたときには驚きました。「72カ月……6年熟成ものの泡が￥1000台？」。値段を見間違えたかと思ったくらいです。リースリングはドイツを代表する白ワインのブドウ品種ですが、りんごを思わせるようなフレッシュな香りとシャープな味わいが特徴で、非常に万人受けするタイプ。私も白ワインと言ったらリースリング！というくらい好きです。こちら72カ月熟成していますが、出荷前にデゴルジュマン（簡単に言うと澱（オリ）を取り除く作業）を行うため、熟成した深みある味の中にもリースリングらしいフレッシュ感を味わえるエレガントな１本です。
「成城石井」で「東京ヨーロッパ貿易」のワインを購入する際には、いつも一緒に惣菜も買って帰ります。中でも合わせたいのが「トマトとモッツァレラチーズの鶏焼売」。鶏肉の焼売なのでさっぱりとしていますが、チーズの旨味とトマトの酸味が、72カ月という長期熟成ならではの芳醇な香りときめ細やかな泡と絡み合い……油断しているとつまみながら、1人で1本空けてしまう危険な組み合わせです。そしてリースリングは日本食とも合うので、お正月のお節料理にもどうぞ合わせてみてください。
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