③コーヒー

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近年の研究により、コーヒーにも記憶力を高める働きがあることが明らかになってきました。なかでも、「カフェイン」が認知症予防に効果を持つと期待されています。お酒が飲めない人でも、コーヒーが大丈夫な人には朗報ですね。

アメリカのジョンズ・ホプキンス大学による、カフェインと記憶の関係を調べた研究によると、複数の画像を見た5分後にカフェイン200 mgの錠剤を摂取したグループに、翌日もう一度、一連の画像を見せたところ、カフェインを摂取していないグループと比べて「前日とよく似た画像の違い」に気づく割合が高くなったそうです。画像の違いを見分けるには、長期と短期の両方の記憶力が必要になります。つまり、カフェインは脳の記憶力を高めている可能性があるのです。

ただし、カフェインはとり過ぎると、頭痛やめまい、下痢、吐き気、イライラなどの悪影響をもたらすことがあります。日本では、カフェイン摂取量の目安は定められていませんが、EUの欧州食品安全機関(EFSA)では、妊婦を除く大人の場合、1日あたり400㎎までであれば健康リスクは増加しないとしています。

「食品中のカフェイン」(内閣府・食品安全委員会)のデータによると、ドリップコーヒーは100mlあたり(以下同じ)60mg、インスタントコーヒーは57 mg、煎茶や烏ウーロン龍茶は20mg、紅茶は30mgのカフェインが含まれています。なかでも、エナジードリンクや眠気覚まし用のドリンクは100mlあたり32〜300mgと、製品によってばらつきはありますが、大量のカフェインが含まれているものもあり、気づかないうちにとり過ぎてしまう危険性があるので注意しましょう。
 

こちらもチェック! 認知症予防のための食品類
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認知症患者が700万人!? 他人事ではない「2025年問題」

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現在日本において「2025年問題」が取り沙汰されています。これは、第二次世界大戦後の1947~1949年のベビーブームに生まれた、約800万人の人々が75歳以上の後期高齢者になるのが、この年だからです。この時点で、認知症の患者数は約700万人にのぼると予想されており、医療費の増加や介護施設の不足などが懸念されています。さらに認知症の患者数は年を経て増加すると予想されています。

アルツハイマーになっても薬があるから大丈夫、という世の中にはまだなっていません。私が開発した「アリセプト」も根本治療薬ではなく、あくまでも症状の進行を抑える対症療法薬です。
世界的にも問題となっている高齢社会、認知症薬の開発に生涯をかけて取り組んできた私の経験が、お役に立てばと思います。
 

著者プロフィール
杉本八郎さん:
1942年、東京生まれ。薬学者、脳科学者。工業高校を卒業後、エーザイ株式会社に入社。勤務の傍ら、中央大学理工学部工業化学科を夜学で卒業。新薬開発の研究室で、高血圧治療薬「デタントール」、そして世界初のアルツハイマー病治療薬「アリセプト」の創薬に成功した。

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『世界初・認知症薬開発博士が教える 認知症予防 最高の教科書』
著者:杉本八郎 講談社 1300円(税別)

認知症治療薬「アリセプト」の開発で、医薬品分野のノーベル賞といわれる英国ガリアン賞を受賞した著者が教える、認知症予防法の決定版。新薬を研究する際にわかった有効成分にもとづく認知症予防のための食品や、認知症にならないための生活の心得まで、私たちの日常生活でも実践しやすい対処法をわかりやすく伝える一冊です!


構成/金澤英恵


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