菜食をするジョン・レノン一家に衝撃を受けた幼少期


“ヴィーガン=完全菜食主義者”向けの料理というと、世界中の美味しいものに精通しているグルメな杉山さんのイメージとは、一見かけ離れているようにも思えます。杉山さんが、ヴィーガン料理に目を向けられたきっかけは何だったのでしょう?

完全無農薬で作られた採れたての野菜は、どんな高級食材にも負けるとも劣らない美味しさ。「健康で美味しいご飯が食べられて、そこに太陽があれば幸せ!」という杉山さん。

「実はそもそも“ヴィーガン”を意識しはじめたのは、私がまだ幼い頃のことでした。たまたまご縁があって、軽井沢でジョン・レノンのファミリーと私の家族とで食事をする機会に恵まれたのですが、彼らはテーブルに並ぶ様々なお皿のなかでもお肉料理には手をつけなかったのです。そのことを不思議に思った私は後から母にたずねてみると、『彼らはお野菜料理しか食べない人たちなのよ』と。それで、そういう食事の仕方もあるのだなと子ども心に驚いて、後々まで強く記憶に残ることになりました。今思えば彼らはアイスクリームを食べていたので、ヴィーガンではなくその時は ベジタリアンだったのですが(笑)。

 

やがてそのずっと後になって、オノ・ヨーコさんとポール・マッカートニーが“ミート・フリー・マンデー (1週間のうち1日はお肉を食べない) ”という活動をしていたことを知りました。彼らの主張は、お肉を食べる量を減らすことで畜産業から排出されるCO2ガスを削減できるほか、人の健康や動物の保護にもつながる、ということ。そのときに幼い頃の記憶との点と点が繋がり、あれはこういうことだったのか!と合点がいって。彼らのメッセージに感動したことから、ヴィーガンをより意識するようになりました。

当時、トレンドの最先端にいるような海外のファッション業界の友人たちからも、ヴィーガンの素晴らしさについて耳にしていましたしね。また、40代に入り、更年期に向かって身体が変わりつつあったせいか、少し体調をくずした時期があって。そのときに食事を少し見直したこともヴィーガン食を取り入れるようになったきっかけでした」

ジョン・レノンのファミリーと交流した夏の貴重なショット。息子さんのショーン氏とシャボン玉やフリスビーで遊んだことは一生の思い出に。そして、このときの体験が今の杉山さんに影響を与えることになるとは、当時は思いも寄らなかったはず!ヨーコさんの右手側が杉山さん、左手側が幼き頃のショーン氏。
ジョンが亡くなってから35年後にあたる2015年春に、ドイツの出版社TASCHENから、篠山紀信氏が撮影したジョン&ヨーコの未公開写真を編集した写真集“DOUBLE FANTASY”が発売されました。その企画・プロデュースを手がけたのが杉山さん。その5 年前にAudi Forum 東京での展覧会にも携わるなど、ご縁の深さを感じさせられます。