昔、年をとることは可能性が減っていくことなんだと言われたことがあった。何か新しいことを始めると「いい年をして」と眉をひそめられ、ちょっとはしゃぐと「少しは年を考えなさい」とたしなめられる。だけど、本当に人の価値はそんなふうにどんどん目減りしていくものなんだろうか。人は年をとるたびに不自由になる生き物なんだろうか――
そんな窮屈な価値観を軽やかに一蹴し、いくつになっても人生を楽しむ人々の姿を描いたドラマがあります。それが、現在放送中の『その女、ジルバ』(東海テレビ・フジテレビ系)。人生に絶望しかけていた40歳の主人公・アララこと笛吹新(池脇千鶴)が、新しく勤めることとなった高齢バー『OLD JACK&ROSE』での出会いを通じて、生きる力を取り戻していくヒューマンドラマです。
「私なんてもう四十(シジュ―)だし」と丸くなっていたアララの背中を「女は四十(シジュ―)から!」と景気良く叩いてくれるのが、『OLD JACK&ROSE』に勤める人生の先輩たち。それぞれ複雑な過去を背負いながらも、悲観することなく、前向きに日々を楽しむ姿に、今、多くの人たちが勇気づけられています。
エイジズム(年齢差別)という言葉が少しずつ広がりつつある今、私たちは年齢というものとどう向き合っていけばいいのか。『OLD JACK&ROSE』のホステスで新の先輩・エリー役を演じる中田喜子さんと一緒に考えます。
輝きの秘密は、毎日のラジオ体操と顔筋トレーニング
――回を重ねるごとに、どんどん明るくなっているアララに元気をもらっています。中田さんは40代のときってどんなことに悩んでいましたか。
中田 やっぱり年齢を重ねると、声帯にも老化現象が起きるんですね。少しずつ響く声が出なくなって。だけど、女優にとって声は大切な商売道具です。そこで、40半ばくらいから改めて発声練習に取り組むようになりました。
もともと18歳から20年近く発声練習は欠かさずにやっていたんですけど。ずっとついていた先生が高齢でお辞めになったことから、しばらく途絶えていて。それをもう一度、初心に帰ったつもりで新しい先生のもとで学び直したんです。
――やっぱりきちんとトレーニングを受けると違いますか。
中田 違いますね。他にもマンツーマンでピラティスを始めたり。50代になってからはラジオ体操も毎日やるようになりました。
――ラジオ体操って小学生のとき以来、まったくやっていないんですけど、あなどっちゃダメなんですね。
中田 あなどるなかれです(笑)。NHKのラジオ体操を毎日録画して。第一と第二の間に、いろんな運動を日替わりで紹介してくれるんですね。それが楽しくて。全部やったら、かなりの運動になりますよ。
あとは50代後半からは、顔筋のトレーニングもしています。
――顔筋?
中田 お風呂に入りながら「あ」から「ん」まで発音するんです。それも顔の筋肉を思い切り動かすイメージで。そうすると頬の筋肉が上がってくるんです。年齢を重ねると少しずつ顔の筋肉が衰えてくるので、表情筋を鍛えることで、たるみを防止するように心がけています。
笑顔が似合う人ってやっぱり素敵!
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