夜中に締め出されベランダで用を足す


「恥をかかせやがって」と怒り狂った夫は、Aさんによりハッキリとした悪意を持って、嫌がらせに息子を巻き込むようになりました。見せしめに息子を蹴り飛ばし、息子がしていたスポーツにコーチ気取りで口を出す。朝夕の練習メニューを考え、Aさんに監督するように言いつける。

その頃にはアルバイトから正社員になっていたAさんですが、息子に朝練をさせ、夫の弁当を作り、仕事に行って、夕方も練習に付き合うという過酷な生活が始まりました。少年スポーツなので、土日は丸一日付き添いです。

練習を言いつけているのは夫なのに、夕方になるとアパートの窓から顔を出し、練習をしている2人に向かって「もう酒がないぞ!」と空のグラスを突き出します。酒が進めば説教が始まり、「そこに座れ」と命令し、一晩中文句を言い続けるのです。

 

ひどい時は、夜中にAさんをベランダに締め出し、そのせいでAさんはベランダで用を足さなければいけないことさえありました。やっと元夫が酔い潰れると、Aさんはその隙に横になるのですがすぐ息ができず目が覚めてしまう。パニック発作です。

 

もちろん、息子の様子もおかしくなりました。

学校側からは子供の様子について何度も話がありましたが、Aさんはそれを夫にいうことができず医療にも福祉にも繋げることができませんでした。激怒され事態が悪化するのが恐ろしく、眠れないせいで、冷静な判断もできなくなっていたからです。

次第に仕事にも行けなくなり、ご飯も食べられなくなりました。

人相が変わってしまったことに驚いた周囲の人が心配してくれましたが、もう相談することもできず「更年期かな」と笑ってごまかすのが精一杯。

眠れない、食べられない、息ができない、働けない、お金がない、相談できない、助けを求めることができない。

生活費をサラ金に借りるようになりました。

あっという間にサラ金からもお金が借りられなくなり、次は近所の人や親戚、ママ友にまで借金を申し込むようになりました。

それもすぐにツテがなくなり、最終的に主婦売春に手を出しました。

これまでの人生で全く触れてこなかった仕事でした。

やってはみたもののあまりの衝撃で、家に帰ったAさんは子どもの目を真っ直ぐ見ることができなくなっている自分に気が付きました。

そして次の日「仕事に行ってきます」と家を出て、Aさんはそのまま二度と家に帰ることができなくなったのです。

(次回につづく)
 

前回記事「DV被害者シングルマザーが、スマホゲームとTwitterの力を借りて立ち直るまで」はこちら>>


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