40歳という節目で、女性は自らの生き方を振り返るものではないでしょうか。
「こんなはずじゃなかった」と後悔しても過去は変えられず、心も身体も若い頃には戻れない。
これは立場の異なる二人の女性が、それぞれの人生を見つめ直す物語。
女性誌のエディター・進藤早希はまもなく40歳を迎える。仕事に邁進しているが、望まぬママ雑誌の編集長に抜擢されキャリアに迷いが生じる。さらには年下カメラマンから「話がある」と誘われ動揺……しかし同タイミングで、モラハラ夫に悩む親友・美穂から「家を出た」と電話があった。
***
信号が変わるのを今かと待ちながら、早希は向かいのカフェへと視線を走らせた。
目を凝らすと、大きなガラス窓の向こうに美穂らしき女性の姿が見えた。無意識に固まっていた身体が解けていく。
――良かった。とにかく無事で……。
美穂から急に電話があったのはおよそ30分前のことだ。朝から籠っていた外苑前のスタジオですべてを撮り終え、片付けをしている最中だった。
カメラマンの北山隼人から「撮影後に話がしたい」と言われていたが、「家を出た」なんて聞かされたらそれどころじゃない。
一体、何があったのか。子連れで家を出て、これからどうするつもりなのか。美穂の口から事情を聞き、自分の目で安全を確認しなければ落ち着いていられなかった。
電話口で「すぐ会いに行く」と伝えると「私がそっちに行くよ」という。それなら……とスタジオ近くのカフェを指定し、片付けを終えてすぐに駆けつけた。
隼人には「急用ができた」と謝った。切羽詰まった早希の様子から察してくれたのか、彼も何も言わなかった。
「美穂!家を出たって……どういうこと!?」
ほとんど駆け足でカフェに到着すると、早希はようやく会えた美穂の手をギュッと握りしめた。
【写真】アラフォー女性編集者の日常
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