30年の年月を経て...上皇陛下と美智子さま「生前退位の日」一礼に込めた想い

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上皇さまが生前退位をされ、新天皇が即位されてから、早2年が経とうとしています。
昭和から平成への喪に服したお代替わりと違って、令和への交代は明るい祝福ムードで迎えることができました。しかし、それを実行するためにはたくさんの美智子さまと上皇さまの努力の積み重ねがあったのです。
新刊『美智子さま いのちの旅 ―未来へ―』には、お二人の人生後半への道のりが分かりやすく描かれています。
美智子さまの「終い方の知恵」からは、私たちも学べることがありそうです。

退位後の一般参賀や天皇陛下の即位関連の儀式を納めた写真を前に語り合う上皇ご夫妻。写真/宮内庁提供


国民からの理解を得て退位に向けて検討を始める


2016年(平成28年)8月8日、陛下(上皇さま)は、テレビを通して全国民に「生前退位」をにじませたおことばを表明されました。

陛下は、

「天皇の終焉に当たっては……とりわけ残される家族は、非常に厳しい状況下に置かれざるを得ません」

と語っています。

公の存在である天皇家の家族であっても、お互いを愛して大事に思う普通の家族と変わらないのです。
「生前退位」についても、ご家族のなかで意志が一つにまとまっていたと思われます。

皇太子浩宮さま(天皇陛下)が陛下から退位の意向を伝えられたのは、1年ほど前のこと。ちょうどそのころから、雅子さまが地方公務や園遊会などに出席されるなど、お出ましを増やし始めました。
7月には、皇居御所に愛娘の黒田清子さんを招いて昼食をともにしながら、「生前退位」のおことばのビデオメッセージ放映についてお伝えされたといわれています。

テレビで全国に流れた「生前退位」をにじませたおことばを観て、多くの国民は陛下のご意志を好意的に受け止めました。朝日新聞の世論調査によると、「生前退位の制度化」に、84パーセントの国民が賛成したのです。

象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば。生前退位の意向を示している陛下は、「象徴としてのお務め」について、自身のお気持ちをビデオメッセージの形で国民に向けて発表された。 写真/宮内庁提供

これまでのご活動を見てきた国民にとって、「長い間お疲れさまでした。どうぞお休みください」という気持ちを抱いたのが自然でしょう。

安倍晋三首相(当時)も「(この表明を)重く受け止めております」と語り、政府は9月後半をめどに有識者会議を開き、皇室典範の見直しを含めた「生前退位」に向けて検討を始めることとなりました。
 

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【秘蔵写真】美智子さまの色褪せない品格とエレガンス
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写真はすべて、講談社所蔵写真3万枚超から厳選した貴重なカットです。
この企画は弊社写真部のカメラマンが主に1960~1970年代に美智子さまを撮影したお写真で構成されています。キャプションは過去の資料をあたり、敬称・名称・地名・施設名・大会名・催し物名など、その当時のものを使用しています。古い写真が多く、退色・汚損したものは色鮮やかにデジタル化してよみがえらせています。

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