陛下と美智子さまが自ら準備する葬儀とお墓「400年ぶりの火葬で国民に負担なく」

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上皇さまが生前退位をされ、新天皇が即位されてから、早2年が経とうとしています。
昭和から平成への喪に服したお代替わりと違って、令和への交代は明るい祝福ムードで迎えることができました。しかし、それを実行するためにはたくさんの美智子さまと上皇さまの努力の積み重ねがあったのです。
新刊『美智子さま いのちの旅 ―未来へ―』には、お二人の人生後半への道のりが分かりやすく描かれています。
美智子さまの「終い方の知恵」からは、私たちも学べることがありそうです。

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2018年、美智子さまのお誕生日のポートレート。写真/宮内庁提供

2013年(平成25年)11月、宮内庁は陛下(上皇さま)と美智子さまのご意向を受けて、「今後の御陵及びご喪儀のあり方についての天皇皇后陛下のお気持ち」と題する葬儀と陵(お墓)の見直しを発表しました。
これにより、葬儀にはまだ検討の余地があるとしつつ、陵についてはこの方針に沿って築造されることになりました。
葬儀と陵については、5つの方向が示されました。

ここではその内容についてお伝えしましょう。

 


① 陛下と美智子さまの3つのお気持ち


宮内庁は、陛下(上皇さま)と美智子さまの「極力国民生活への影響の少ないものにすることが望ましい」というお気持ちを反映して方針をまとめたといいます。
昭和天皇の葬儀がご体調が悪くなってから極秘に準備されたのとは違って、国民にも経過を知らせながら準備が進んでいくことになります。

このとき具体化された葬儀の方法や陵のあり方には、大きく3つのお二方のお考えやお気持ちが込められています。

まず1つ目は、お二人のお互いへの深い愛情です。法律には陵や葬送についてのはっきりした決まりはないため、お二方のご希望を陵の形などに反映させることができたのです。

二つ目は、経済的な負担も含めた国民生活への配慮と、時代に沿った葬送をしたい、というお気持ちでした。陛下は平成になってからの経済不況や自然災害などの際に被災者に寄り添うことを大切にされてきています。
このことから、陵や葬送のために国民に影響が出ることはなるべく避けたいというお気持ちが表れています。そのため、「簡素化」を意識したものになっています。

三つめは、祭事を含めた皇室の伝統を尊重し継承していきたい、という思いです。これらをすり合わせつつ、方法を探ってこられたのでした。

この方針は、象徴天皇として「国民に開かれた皇室」を心掛けてきた陛下と美智子さまのお考えの集大成といえるものだったのです。

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2019年4月23日、東京都八王子市の武蔵陵墓地の昭和天皇陵を参拝された美智子さま。 写真/毎日新聞社/アフロ

② 参加者に配慮した葬儀場所に


葬儀当日は憲法の政教分離の定めに従い、「葬祭殿の儀」は皇室行事として、「大喪の礼」は国の行事として行われます。これからは内閣も加わって、「大喪の礼」など儀式全体の検討も行っていくことになります。

1989年(平成元年)2月に行われた昭和天皇の葬儀は、東京の新宿御苑で行われました。
雨の降る真冬の寒い時期に、参列者が儀式の始まるまで屋外のテントの中で長時間待たされている様子を、国民もテレビを通して見ることができました。いかにも寒そうで、ほんとうにお気の毒でした。

陛下と美智子さまは、葬祭殿(葬儀会場)を探すにあたって、暑さや寒さに加え、集中豪雨や竜巻などの可能性も十分考え、参列者を守れる場所にすることを条件として挙げられています。
そのため、場所についてはこれからも検討していくとしています。


③ 近代で初めての火葬へ


両陛下の簡素化のご意向を受けて、江戸時代から続いてきた土葬から火葬に変更されました。天皇の火葬は、江戸時代初期、1617年の後陽成天皇の葬儀が最後で、それ以来400年ぶりのこととなり、葬送方法の歴史的転換となります。上皇さまは、近代で初めての火葬の天皇となるのです。

一般社会では火葬が通例になっていることや、陛下と美智子さまが国民とともに歩みたいとお考えになっていることも、変更の理由でした。

葬儀のたびに武蔵陵墓地に専用の火葬施設を設けるため、新たに火葬の儀式が加わります。ただ、その分が国民の負担にならないように、これから検討していくとしています。

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【秘蔵写真】美智子さまの色褪せない品格とエレガンス
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写真はすべて、講談社所蔵写真3万枚超から厳選した貴重なカットです。
この企画は弊社写真部のカメラマンが主に1960~1970年代に美智子さまを撮影したお写真で構成されています。キャプションは過去の資料をあたり、敬称・名称・地名・施設名・大会名・催し物名など、その当時のものを使用しています。古い写真が多く、退色・汚損したものは色鮮やかにデジタル化してよみがえらせています。

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