たった2%ではあるものの、そこには大きな意味がある

 

生理に関するさまざまな問題のベースには、必ず「生理について話すのが難しい」という課題が潜んでいると谷口さん。

 

「生理について、日本ではこれまで充分な議論がされていませんでした。そのため生理のある人は生理についての困りごとや不満について、声を上げることができず、生理を経験しない人は生理について知らないままになっていました。このように生理が社会で可視化されてこなかったことが、生理用品が軽減税率の対象にならなかった理由のひとつだと考えます。

たった2%という人もいるかもしれませんが、だからこそまずは、生理用品の軽減税率化を実現することが第一歩だと考えています」

けれども税率などを決定する場に、女性が少ないというのが現状。そういう意味でも、「生理の問題は、大きな社会問題につながっている」と痛感させられるといいます。

「生理用品の軽減税率化を求める署名は、2年目を迎えた現在、6万7000件ほど集まりました。
目標値を決めているわけではないのですが、ある程度数がまとまってきたこともあり、近々財務省に提出したいと思っています。
また学校のトイレの生理用品の設置には、厚生労働省や文部科学省に署名をもっていけるよう動いているところです」

ただ、どんなに署名の数が集まっても、全国の自治体の税収や、ドラッグストアやスーパーなどのレジのシステムに関わることなので、軽減税率化の実現にはかなり高いハードルが立ちはだかっているのが現実です。

「次は全国の自治体や議員さんに働きかけることが必要です。
私たちは署名活動のほか、全国の市区町村を回って、学校への生理用品設置を求める活動も同時にしています。
ただ自治体のトップは男性が多いですし、残念ながらまだまだ理解のない人もいます。
そんななか、埼玉県の八潮市は私たちの活動に賛同してくださり、国に対する意見書をあげて頂きました」

積極的にこうした運動に参加することに、抵抗を感じる方は多いでしょう。けれども「参加したい」と思えば、誰にでもできるのです。

「私たち7名のメンバーでは、なかなか全国すべてを回るのは難しい状況です。
ご賛同いただけたら、署名にご協力いただくほか、地元の議員や自治体に生理用品の軽減税率適用や、学校への生理用品の設置に関する意見書を送っていただけると、とても力になります」


谷口歩実
1998年生まれ。大学ではジェンダー・セクシャリティ研究と教育学を学ぶ。在学中だった2020年に「#みんなの生理」を立ち上げ、共同代表に就任。現在、「生理による不平等、生理における不平等をなくす」ための活動を精力的に行っている。

取材・文/萩原はるな
構成/片岡千晶(編集部)

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