「可愛すぎるジュノンボーイ」として注目を集め、「ジェンダーレスモデル」として多方面で活躍。今話題の18歳・井手上漠さんが初めてのフォトエッセイ『井手上漠フォトエッセイ normal?』を発売しました。

きりっとした眉にキラキラした大きな瞳、コケティッシュな厚い唇……井手上さんを初めて見る人のほとんどは、きれいな女の子と認識するでしょう。しかし、生物学的な性別は「男性」。女性的な外見をしているので性自認のほうは「女性」なのかな? と思いきや、それも違うと井手上さん自身が本書で告白しています。

「《いでがみばくです、性別ないです》私は自分のツイッターのプロフィール欄に、そう書いています。それは自分の心に“男か女か”という違いが無いから。私の中には、世の中に言う“女性的”な部分も、“男性的”な部分もあります。かといって、心に境目があるわけではない。こと私に関して言えば、心を性別で区別することができないのです」

今でこそ自らの容姿や性別に関して堂々と言及する井手上さんですが、隠岐の島で過ごした幼少期から思春期は、時に周囲から向けられる好奇の目や、自分自身の性のあり方について苦しんだそうです。しかし、そんな井手上さんを支えたのも家族や友人といった周囲の人々でした。本書のエッセイ部分では周囲との心温まる交流がつづられており、強くてしなやかな現在の人格が形成された足跡をたどることができます。葛藤や逡巡を経て生み出されたその言葉は、年齢・性別関係なく多くの人を引きつけるでしょう。

今回は、唯一無二の輝きを放つ写真と共に、胸に響く言葉の数々を本書から抜粋してご紹介したいと思います。

“普通の男の子”ではないことに負い目を感じ、鬱々とした中学校生活を送っていた井手上さんでしたが、ある日を境に本来の自分を解放することとなります。そのきっかけを作ったのは女手ひとつで自分と姉を育ててくれたお母さん。「漠は漠のままでいいんだよ。それが漠なんだから」というお母さんの言葉に、井手上さんは堰を切ったように涙を流しました。

 

「考えてみれば母は今まで、一度たりとも私を否定したことはありませんでした。洋服や髪の毛、誕生日に買ってくれたリカちゃん人形。いつだってそう。型にはめずに受け止めてくれていました。大きな安心感と感謝の気持ちに包まれ、母の偉大さを実感しました」

 

大きなうしろ盾を得た井手上さんは、堂々と髪を伸ばし、メイクを楽しむようになります。そんな前向きな姿は、家族以外の人間関係も良い方向に変えていきました。

「『気持ち悪い』って言われたのは、私が人目ばかり気にしてオドオドしていたから。そんな態度が心地よく見えなかっただけなのかもしれない」
 

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