治療後も妊娠できる?
→妊娠できます。ただ、再発して何度も手術を繰り返すことで妊娠できない場合もあります。
柳田:子宮内膜症を放置することによって起こる大きなデメリットのひとつが「不妊症」です。子宮内膜細胞による出血とそれに伴う炎症で、骨盤内にある臓器同士が癒着を起こすなどして、妊娠するための機能を低下させてしまうと以前もお伝えしました。手術ではそうした不具合を取り除くことになるので、術後は妊娠しやすくなることが多いです。
ただし、先ほどもお話ししたように、再発によって手術回数が多い方はそれだけ切除部分も多くなり、妊娠機能が低下して妊娠できない場合もあります。卵巣がんの場合も同様ですね。
宮島:知り合いの方で、40代前半で妊娠・出産された女性がいるんですが、「実は私、子宮内膜症の手術を2回してるんです」って明かしてくださって。これはとても希望が持てるお話だなと感じたのですが、要は再発の場合もケースバイケースというか。どのような症状でどんな手術を行うかにもよる、ということですよね。
柳田:そうですね。その方の場合は、手術をしたことで不妊症の原因が取り除かれて、妊娠しやすくなった可能性があります。
宮島:先生、お薬についてはどうでしょう? 手術前の経過を見る期間と手術後の再発予防の期間はお薬で治療しますが、その間に「妊娠したい」と思ったらどうすればいいのかも教えていただきたいです。
柳田:子宮内膜症の治療で使用するジエノゲストや低用量ピルは、内服することで女性ホルモンに働きかけて排卵を抑制します。月経による出血がなくなり、子宮内膜症の症状はよくなりますが、宮島さんが懸念されているように薬剤による治療中は妊娠できません。ただ、治療により妊娠しづらくなるということはありません。治療を中止すればいつでも妊娠を目指すことができます。ですから妊娠を希望する場合は主治医と相談のうえ、薬剤による治療を一旦中止するかどうかを決めていくことになります。
宮島:もしその時がきたら、先生に相談させていただきますね。それと素朴な疑問なんですが、妊娠中に子宮内膜症が見つかることもあるんでしょうか? もしあるとしたら治療はどうするのでしょう。
柳田:妊娠中は産婦人科で定期的に子宮と卵巣の状態を見ていきますから、そこで初めて子宮内膜症が見つかるケースはあります。ただ、妊娠期間中は生理がなくなって子宮内膜症も少し改善される傾向があるので、出産・授乳期間を過ぎてから治療を行うケースが多いですね。
柳田聡 Satoshi Yanagida
東京国際大堀病院 婦人科 副部長。医学博士。東京慈恵会医科大学 産婦人科医、講師を経て現職へ。婦人科腫瘍・女性医学が専門。根拠と優しさをモットーに、女性のライフステージに合った診療を心がけ、患者一人ひとりと向き合う。
宮島咲良 Sakura Miyajima
1983年11月9日生まれ。東京都出身。ワタナベエンターテインメント所属。大学卒業後の2007年、アナウンサーとして九州朝日放送に入社。2010年に同社を退社し、フリーアナウンサーに転身。また、アナウンサーの枠を超えて幅広く活躍。2011年に『ザ・デッド・エンド』で舞台に初出演。2014年には、テレビアニメ「くつだる。」のテーマ曲で歌手デビューを果たす。戦隊もののファンで、スーパー戦隊シリーズ「手裏剣戦隊ニンニンジャー」の挿入歌なども担当した。現在は、BS11「BSイレブン競馬中継」、ニッポン放送「天野ひろゆき ルート930」、MBSラジオ「増田貴久・中丸雄一のますまるラジオ」など幅広く出演中。
Twitter:宮島咲良=ぼっち戦隊ミヤジマン(@sakura1109m)
Instagram(sakura_miyajiman)
撮影/塚田亮平
取材・文/金澤英恵
構成/山崎恵
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