写真提供:NHK

放送終了まで残り2ヶ月を切ったNHK連続テレビ小説『おかえりモネ』。主人公・モネこと永浦百音(清原果耶)と医師の菅波光太朗(坂口健太郎)のカタツムリのような恋にじれキュンする人々が続出。「#俺たちの菅波」をはじめ、劇中に出てくる台詞や人物名が、毎回Twitter上でトレンド入りする盛り上がりを見せています。

しかし、この物語は単なる甘酸っぱい初恋のメロディではありません。震災から10年が経過した今、このメッセージを届けたいというつくり手たちの願いが込められた希望の歌です。今回は、ここまで『おかえりモネ』が何を描いてきたのか。そして、そこで浮き彫りになる社会と私たちについて考えてみます。

 


無傷の人生なんてない。登場人物それぞれが抱える傷


『おかえりモネ』はこれまで一貫して、傷を負った人々がどうやって再び前に進んでいくのかを描いてきました。その象徴となるのが、東日本大震災。モネが生まれ育った気仙沼市の離島・亀島は津波によって大きな被害を受けました。幼なじみの及川亮(永瀬廉)の母(坂井真紀)は今も行方不明のまま。津波に流された車や船を、瓦礫で溢れ返った街並みを、そして昨日までいた人がいなくなってしまった現実を目の当たりにした人々が心に負った傷を、脚本の安達奈緒子は決して扇情的にならず、丁寧に、丁寧に、描き出していきます。


故郷を離れたモネが自立の道を歩む中で出会った人々にも、さまざまな傷が。菅波先生は自分のミスで患者の夢を奪ってしまった後悔を背負い続け、気象予報士の朝岡覚(西島秀俊)は大学時代に箱根駅伝に出場するも、レース中に熱中症となり、タスキをつなげなかった過去を抱えていました。

写真提供:NHK

どんなに幸せそうでも、無傷の人生なんてひとりもいない。みんな何かしら痛みはある。だけど、だからと言って、そこで人生を降りるわけにはいかない。傷を抱えながら、痛みと向き合いながら、一歩でもいい、半歩でもいい、ゆっくり、自分のペースで歩いていく。『おかえりモネ』は、そんな人々の物語です。


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あどけなさ残る少女から意志を持った女性へ
その変貌ぶりにも目を見張る、主人公モネの成長の記録

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