「スルーされる写真」は何を撮ったのかわからない写真


例えば、ブログでセミナーレポートをアップしたいとします。同じセミナーの模様を撮った写真(A)と(B)どちらの写真のほうが目にとまるでしょうか。

(A)

 

(B)

第2期ミモレ大学の講義より。ゲスト講師の美容家・小林照子さん。

(A)も(B)も私が撮った写真なのですが、(A)を「後頭部写真」と自分で呼んでボツにしています(汗)。イベントの様子をなんとなく撮るとこうなる……典型的な「スルーされる写真」です。後ろ姿ばかりで見どころがない、壇上が暗くて誰が登壇しているのかわからない、イベントの盛況を伝えるには手前の空席に目がいってしまう……といいとこなしです。

セミナーの盛況ぶりや参加者の方が楽しんでいる様子を伝えたいなら、そのために撮った写真を入れるべきなんですね。

(C)

 

一つの写真で参加者と登壇者の両方をとらえようとせずに、(B)のように登壇者がどんな人か伝える写真、会場が満席で盛況な様子を伝える写真(C)と、目的別にカットを分けるようにしてみましょう。1カット1目的にするのがコツです。

「目にとまる写真」とは、何を撮りたくて撮った写真なのか、説明の文章を読まなくても目的が伝わる写真なんです。

写真は「何を撮るか」より「何を入れないか」


この「1カット1目的理論」は、私が新人編集者だった頃に、編集長に怒られて学んだことです。ロケ取材で撮ってきた写真を編集長に見せたところ、

「写真は何を撮るかじゃなくて、何を入れないかだから。1枚の写真に2つの目的を入れようとしないで」

と全ボツにされたことがあるんです。お店の雰囲気を撮りたいのか、モデルを撮りたいのか、モデルなら顔なのか、服なのか、服ならトップスなのか、スカートなのか、スカートなら色なのか、質感なのか、デザインなのか……。

つまり、伝えたいことを1カット1つに絞り、関係ない要素をフレームから外すってことなんですね。

「何を入れないか」を意識して撮るってどういうことでしょう。

例えば、意識せずに撮ると

(D)

ああ、またやってしまった、後頭部写真。
この写真には、手前のお客さんの後ろ姿のほかに右奥のスタッフ、左のスピーカーや右の予備のペットボトルを置く台など“入れなくていいもの”がたくさん写っていることに気づきます。

入れなくていいものをフレームから外して撮るとこうなります。

(E)

 

グッと目にとまりやすい写真になりました。卓上のペットボトルが見えなくなるまでさらに寄ってトリミング(画像をカットして切り出す)してもいいかもしれません。このように1枚の写真から余計なものをどんどん外していくことでキャッチーな写真になります。

「1カット1目的理論」は、どんな写真にも応用ができます。例えば、旅先に訪れたレストランで写真を撮る場合。お店のおしゃれな雰囲気も入れたい、料理も入れたい、ワインも入れたい、テーブルのお花も入れたい、一緒に行った人も入れたい……と欲張って一枚の写真にいろんな要素を入れようとしがちです。これを、店内の雰囲気を撮る、料理を撮る、ワインを撮る、人を撮る、と目的別にカットを分けるだけで、「目にとまる写真」になります。

〔ミモレ編集室〕では、写真を強くするフレームの切り取り方や、スタイリスト福田麻琴さんが教える「おしゃれに見えるインスタ写真術」など、写真にまつわる講義も配信しています。自分でスマホで撮る写真のレベルをアップしたいと考えている方はぜひチェックしてみてくださいね。

次回は、写真のスキルがグッと上がるスマホのカメラアプリの設定方法についてご紹介します!


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イラスト/shutterstock、川端里恵

 

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