自分で書いたものを捨てられるのは自分だけ


後輩や新人を指導する際も、上書きしないで新規立ち上げをすすめてみるのですが、なかなかみんなやってくれないです。ここまでこんなに時間をかけたのに捨てるのはもったいないという心理、これを「サンクコスト・バイアス」と言ったりしますね。

編集者やライターを志す人や、WEB発信しようという人は、もともと文章に自信がある人も多いです。自分はわりと”書ける”と思っているがゆえに、自分の文章を捨てられない。私自身がそうなので、すごくわかります。サンクコスト・バイアス×自負があるので、最初に自分が書いたものに固執して、ツギハギでなんとかなると思いたい……。すると、最初よりむしろ読みにくくなってしまうんですね。

そこにまず気付いて、自分の書いたものを自分で捨てられるようになると、最初に書いた時には思いつかなかった、全く新しい作品を生み出せるようになります。

文章が上達する人、しない人。自信がある人ほど陥りがちなツギハギ修正の罠_img3
 

もちろん、打ち直しながら「ここはいいこと言えてる」と思う箇所は、部分的に再利用してもいいです。新しい流れの中で使うと、その文章や表現がキラリと光ることもあります。改めて打ち直してみると「このくだりはバッサリなくてもいいかも」と、流れを悪くしてる”無駄な余談”に気づくこともあります。

 

個人のブログやSNSの場合は、担当編集者がついて手取り足取り……なんてことはなく、自分だけのチェックでアップしますよね。ダメ出しができるのは自分だけです。

なんか気に入らない、上手く言えてないと思ったときは、新規立ち上げを試してみてください。ちょっと削ってちょっと書き足す「ツギハギ修正」をやめて、その投稿は一回保存して閉じます。消さなくてもいいです。部分的に採用するかもしれないから残しておきましょう。新しい投稿を立ち上げて新しい気持ちで、最初から書いてみてください。

そうやって、自分の中に“ダメな原稿をビリビリやぶく鬼編集者”を飼っていて、最初とぜんぜん違うものを生み出して、そいつを見返してやるぞ! と心の中で思うのです。さっき残しておいた前の文章と比べてみてみましょう。お、いいじゃん、全然よくなったじゃん、と褒めることを忘れずに。

さて次回は、これさえ削れば読みやすい文章になる、NGワードをご紹介したいと思います。
 

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イラスト/shutterstock、川端里恵

 

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