人生、生きているといろんな“終わり”があります。学校や会社、恋などさまざまです。でも、終わってしまった後だって人生は続きます。なので、終わりの先には、新しい何かがある、と考えることもできるはず。モーニング・ツーで連載中の「銀河のカーテンコール」は、婚約者と別れたばかりの30歳女性と、庭師を引退したばかりの70歳男性の物語です。

今年2月にモーニング・ツーで連載が始まった『銀河のカーテンコール』という作品があります。先行きが不透明で、どうやって次の一歩を踏み出していいのかわからず、自分を見失いかけているような時ってありませんか? そんな時にそっと手に取ってほしいのがこちらの作品です。

 

物語の主人公は、図書館司書として働く30歳の合歓木眞(ねむのき まこと)。半年前に婚約していた理一との別れを決意しました。眞という名前は、祖母が「自分の“眞”にたどりつくように」という思いでつけてくれたのですが、眞は何が“眞”かわからない状態にありました。

年の差40歳!30歳の図書館司書と70歳の庭師との恋の行方は?『銀河のカーテンコール』_img1

 

同じ頃、眞の暮らす街で、一人のベテラン庭師・松波誠二郎が現役から退こうとしていました。70歳になり、自分で決断したことでしたが、いざ最後の庭仕事を眺めていると、「まだ足りん」という思いがこみ上げてくるのでした。

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この二人が、たまたま同じ居酒屋に居合わせます。眞は職場の同僚との飲み会で、誠二郎は庭師の弟子たちとの打ち上げでした。眞は、実は婚約解消したことを言い出せないまま、同僚たちにサプライズで結婚を祝われてしまい、誠二郎は、もう少し庭師の仕事を続けたいと言おうとしたところ、後輩たちから花束や寄せ書きを渡され、引退を祝われてしまいました。

何も言い出せないまま、“終わって”しまった二人は、意気投合して二軒目に。そこで、眞は理一に感じていた違和感を押し殺して“ちょうどいい彼女”になっていたものの、実は彼にきちんと向き合うことなく自分から別れてしまったことを話します。一方の誠二郎は、引退することになってしまった今、庭造りは終わりの見えない片恋のようなものだと庭師への未練をこぼします。

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帰り際、誠二郎は眞に、「栄光のユリ」と呼ばれる、赤いグロリオサという花を差し出し、「もっと この花ぐらい いばっててください!」と励ましてくれました。思いがけない言葉に、元気をもらう眞。

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次の日、眞はグロリオサを持って祖母の入院する病院に見舞いに行きます。祖母は昔の写真を眺めており、20年以上前に庭の手入れをしてくれた職人の話をしはじめます。丁寧な仕事ぶりで、白くて星型の花びらを持つペンタスという花を植えてくれたと振り返ります。眞も祖母の家の庭に咲くその花には見覚えがあり、実はその職人こそが、偶然出会った誠二郎だったのです。

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眞は、同世代の人にはないような、誠二郎の実直さに惹かれていくようになります。言葉を発することのない植物と向き合ってきたからこその、深い洞察力や思いやりの気持ちが眞の心に染み入っていきます。一方の誠二郎は、眞との何気ないやりとりによって、庭師を引退してくすんでいた心や世界が彩られていくことに気が付きます。

確かに本作は年の差40の大人のラブストーリーではあるのですが、この二人の間に芽生えた感情は、恋と言えるかどうかはわからないくらい、ささやかなもの。物語の進む速度もとてもゆっくりで、心の機微を丁寧に描いています(そして作画も一コマ一コマがとても繊細に描かれていて、とても素敵なのです!)。

お互いが、自分をそっと見守ってくれる星のような存在であることには気づきはじめているものの、二人の関係性や、二人をとりまく世界がどう変化していくのかはこれから。誠二郎はガラケーすら持たず、自宅の固定電話だけなので、メールやLINEなどですぐに連絡を取れるわけではありません。だからこそ、実際に会って言葉を交わす重みが際立ちます。物語はまだ始まったばかりで、ここに眞の元婚約者である理一や、謎の青年が絡んでくることになり、続きが気になるところです。

40歳差という現実が、二人の心理的な足かせになっているところもあるようですが、いくつになっても人に惹かれることはあるでしょうし、惹かれる理由に年齢は関係ないはず。二人の距離が少しずつ近づき、世界が彩られていく過程が楽しみな作品です。

『銀河のカーテンコール』1〜2話をぜひチェック!
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作者プロフィール
北駒生 きた・こまお

これまでの作品に、朝ごはん食堂を舞台に描いた人間ドラマ『あさめしまえ』(講談社「BE LOVE」連載)、文楽の世界に人生を懸ける少年たちを描いた『火色の文楽』(コアミックス「月刊コミックゼノン」連載)などがある。『銀河のカーテンコール』で「モーニング・ツー」初登場。

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『銀河のカーテンコール』
北駒生 講談社

図書館司書の眞(まこと)と、ベテラン庭師の誠二郎(せいじろう)。

いずれも、あることの“終わり”を迎えた二人は、ひょんなことから出会い、昨日までに悔いを残しつつも、意気投合。実は運命に導かれていたことに気づいた時には——!?

「年の差40歳」から始まる“新しい日々”を描く大人のラブストーリー!