ファッションスタイリスト佐藤佳菜子さんが日常のおしゃれについてのアイデアや思いを綴る連載。今週のテーマは「食わず嫌い」についてです。

 


関連記事
身長150cm台の小柄スタイリストが見つけた「ジャストフィットのボトム」と着こなしの工夫>>

「スキップしようとしていたトレンドアイテムをうっかり好きになってしまった!」

この秋冬に、信じられないほど見たトレンドアイテムの1位といっても過言ではないのが「トラックソールのブーツ」。
ごつごつとした厚底のソールでサイドゴアがついたあれです。

ショートからミドル丈のものが主流ですが、ロングブーツも出現。

色もクリーム、カーキ、ベージュ、黒、白、とにかく豊作で若干のデザインの差はあれど、この冬、ふりむけばそこのあるのがトラックソールブーツ。

ファッション誌の撮影では真夏の盛りから秋冬ものの撮影を始めるのですが、その頃から今に至るまで毎月のようにコーディネートに使いました。

でも、個人的には「わたしはいらない」とタカをくくっていたのです。

わたしの体にはボリュームがありすぎて、着ぐるみのキャラクターたちの足元のようだし、ふくらはぎの真ん中あたりまでの長めのショートブーツもなんだかバランスが取りづらい。

かわいいしいまどきなのはわかっているけれど、わたしはエレガントな靴が好きだから、なんとなくドタドタという音が聞こえそうなこのブーツには食指が伸びず。

「食わず嫌いがおしゃれの幅を狭める」スタイリストが改めて気づいた大事な視点_img0
靴[11月5日発売予定]/ソレル JAPAN EXCLUSIVE(オデット エ オディール)

ところが、仕事ついでにいったプレスルームで見たオデット エ オディールのソレル日本限定モデル……。
最初は「ふーん」と思いました。
でも、雨にも負けないと聞いて心が動きました。

前まで愛用していた雨靴はロンドンの家に置いたままで、雨の日に履ける靴をちょうど探していたから。

届いてみて目を見開きました。

「食わず嫌いがおしゃれの幅を狭める」スタイリストが改めて気づいた大事な視点_img1
靴[11月5日発売予定]/ソレル JAPAN EXCLUSIVE(オデット エ オディール)

意外なほどに細くてエレガントなつま先、そして、長すぎない足首丈。
履いてみるとふかふかのクッションに包まれるようなサポート力。
足入れしたとたん大ファンに。

「食わず嫌いがおしゃれの幅を狭める」スタイリストが改めて気づいた大事な視点_img2
靴[11月5日発売予定]/ソレル JAPAN EXCLUSIVE(オデット エ オディール) コート/ドゥロワー ニット/アンクレイヴ デニム/ザラ カチューシャ/アレクサンドル ドゥ パリ バッグ/ボッテガヴェネタ  ピアス/ソワリー

厚底で脚もこころなしか長く見えるような気がするし(自分比)、古い服もなんだか新しくイマドキに蘇ったような。

雨の日ように買ったつもりがすっかりただのお気に入りの靴。

大人になって、しかも職業柄もあって、わたしは自分にNG服をいうのをできるだけ決めないようにしていたつもりでした。

「こういう服は着ない」とか「この色は似合わないとか」

もちろん、どうしても着こなせないというものも実際はあるし、本当にいらないものもある。でも、できるだけファッションに関してオープンマインドでいたいなと。

年齢が変わり、トレンドが変わり、髪型が変わってメイクが変われば、似合わないと思い込んでいたものだって真逆に振れることもある。

その思い込みが自分のファッションの幅を小さくせまく、変わり映えのしないものにしているのではないか。

でも、そう思っていてもまた、知らず知らずのうちに食わず嫌いをしていたなと再確認。


反省をしたと同時に、予想外に好きなものに出会った喜びもありました。

今日はそんな話。

ところでうちの愛犬ピグミ様は靴なんか一足も持っていません。
ただ、最近は陽気でかわいい雲の柄のニットを着てほくほくとしています。

「食わず嫌いがおしゃれの幅を狭める」スタイリストが改めて気づいた大事な視点_img3

 

テコテコテコ
また来週。


スタイリスト佐藤佳菜子さんの最新コーデ
▼右にスワイプしてください▼

バナー画像撮影/川﨑一貴(MOUSTACHE)
文/佐藤佳菜子
構成/高橋香奈子
 


前回記事「身長150cm台の小柄スタイリストが見つけた「ジャストフィットのボトム」と着こなしの工夫」はこちら>>