最近は働き方自体が非常に多様化しています。正社員、契約社員、派遣社員などの「社員」だけでなく、「フリーランス」で働く人も増えています。フリーランスとは、特定の企業や団体、組織に専従しない独立した形態で、自身の専門知識やスキルを提供して対価を得る人のこと。日本国内に462万人いるとされ、これは日本の労働力人口の6.7%を占めるまでになってきています(※3)。
完全に組織から独立してフリーランスをしている人(=独立系フリーランス)もいますし、会社員をしながら「副業」としてフリーランスをしている人(=副業系フリーランス)もいます。私は2012年に会社員をやめてフリーランスになったのですが、当時は「もう二度とここ(会社員)へは戻れない……」なんて、決死の覚悟でやめたものです。ですが、最近ではそれも変わってきています。
フリーランスを数年経験したあとに、再び「組織で働きたい」と会社員へ戻る人もいますし、しかもその会社が「副業OK」ということで、フリーランス時代の仕事を継続している人もいます。組織の境目があいまいになり、複数の組織にかかわりながら複数の肩書きで仕事をすることがめずらしくなくなってきました。
フリーランスの種類も多様化してきています。「フリーランス」と聞くと「特別な人の特別な働き方」だと思っている人がまだまだ多いと思いますし、下図のようにライターやエンジニア、デザイナーなどの「クリエイティブ系」の印象が強いかもしれません。でも営業や広報、人事、マーケティング、経理などの「ビジネス系」職種でフリーランスになる人もいますし、「好き」や「得意」を生かしてハウスキーパー(家事代行)やハンドメイド作家として活躍している「職人系フリーランス」もいます。
最近は副業OKの会社が55%をしめるというデータもあり(※4)、容認する企業はますます増えています。「副業をしたい」人も増えていて、実際、先ほどの「フリーランス人口462万人」の中で副業としてフリーランスをしている人は248万人と、全体の半数以上にのぼります。
コロナ禍で首都圏を中心にテレワークが浸透したこともあり、通勤時間がカットされ働く場所と時間の自由度が高まった結果、副業への関心度合いがこの一年でより一層高まってきたように感じます。この記事を読んでいる人のなかでも、「副業をしてみたいなぁ」と思っている人は実際多いのではないでしょうか?
けれど、キャリアはなにも「今、働いている人だけのもの」ではありません。私が共同経営する会社では、「ワークアゲイン」という離職女性の再就職を支援する事業をおこなっていますが、こちらでも多様なキャリアの形を目の当たりにしています。
離職理由は人それぞれですが、30〜40代の女性では、育児や介護、また配偶者の転勤についていくため……などの理由が多いです。たとえば、以前にワークアゲインに登録してくださっていた40代のEさん。配偶者の海外転勤のために仕事をやめ、専業主婦期間は16年にもなりました。それでも勇気を出して再就職を支援する「ワークアゲイン・インターン」へ参加。そこで見事にチャンスをつかみ、今は大手IT企業で生き生きと働かれています。
仕事をしていない期間があったからこその「働くこと」への高いモチベーションや、ゼロから学ぶ意欲や向上心、離職期間がなければできなかった経験が評価され、再就職につながったのでしょう。キャリアにおいて「無駄なこと」など何もないのだと日々気づかされます。だからこそ多様な選択肢を知ったうえで、納得感を持って自分のキャリアをつくり、歩んでいきたいですね。
(つづく)
コラム後編「キャリア不安に打ち勝つための3つのアクション。「知る・動く・学ぶ」で自分を変えていく!」は11月17日(水)公開です。
(※1)特定非営利活動法人日本キャリア開発協会ホームページより
(※2)金井壽宏著『働くひとのためのキャリア・デザイン』より
(※3)内閣官房「フリーランス実態調査結果」より
(※4)パーソル総合研究所「第二回 副業の実態・意識に関する定量調査」より
前回記事「「45歳定年制」が波紋...40代が陥りやすい「キャリアの停滞」をどう乗り越える?」はこちら>>
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