フリーアナウンサー馬場典子が気持ちが伝わる、きっともっと言葉が好きになる“言葉づかい”のヒントをお届けします。

 

新春恒例の宮中行事、歌会始の儀。ニュースで独特の節を耳にされたことがあるかと思います。
昨年はコロナの影響で3月に延期となりましたが、今年は予定通り1週間前の1月18日に行われました。
実は私たちも参加できる、貴重な行事でもあります。かつて勅題(ちょくだい)と呼ばれた「お題」が毎年出され、そのお題を取り入れた短歌を応募し入選すると、皇居にお招き頂けるのです。

 

今年のお題は「窓」でした。

天皇陛下は
「世界との往き来難(がた)かる世はつづき
 窓開く日を偏(ひとへ)に願ふ」
As our contacts with the world
Remain difficult,
I earnestly hope for a day
When the window opens to the world

Looking through the windows
Of the Fukiage Palace,our new residence,
We enjoy the greenery
Of the great trees around us

皇后さまは
「新しき住まひとなれる吹上の
 窓から望む大樹のみどり」
Looking through the windows Of the Fukiage Palace,our new residence,We enjoy the greenery Of the great trees around us

愛子さまは
「英国の学び舎に立つ時迎へ
 開かれそむる世界への窓」
As I stand before
The House of learning where I shall study in Britain,
I feel the windows to the world
Are opening up to me

皆さまご自身で英訳し、雅子さまが監修されたそうです。

「プレバト‼︎」を応援してくれている知人から応募してみたらどうか、と勧めて頂いたこともありますが、俳句とはまた違う難しさがありそうで、踏み出せていません。
「プレバト‼︎」の皆さんの俳句には、「さすがぁ〜」「ほぉ〜」っと感嘆の声を上げることが多いのですが、歌会始の短歌にはいつも、柔らかく温かな響きを感じ、心洗われる気がします。

実はこの「お題」は茶道にも縁があり、毎年、和菓子や、茶碗や懐紙などのモチーフとして親しんでいます。
お題そのもののが描かれることもあれば、お題にまつわる故事や、作家が連想するイメージが形になることもあり、いつもワクワクします。

さて、歌会始の儀の最後には、翌年のお題が発表されます。
令和5年は、「友」。
友と、時には家族とすら気軽に会うことが難しい日々の中、希望を感じました。
年が明けてからまだお稽古に伺えていないので「窓」にも触れていないのですが、早くも「友」の意匠に触れることも楽しみです。

毎年の「お題」にちなんだ茶碗
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